★3 | あるスキャンダルの覚え書き(2006/英) | 嘗て『ミス・ワイコフ』が孤独の果てに越境した地平は2キャラに分断され扇情性を失った。にも関わらず途中でどうも高尚な映画でも無さそうと気づいたのだが、なら決定的対決のカタルシスへと導くのが常道だろうにそうもならず煮え切らない。視点は拡散する。 | [投票] |
★3 | テイキング・ライブス(2004/米) | 意味有り気な超常能力でもあるのかと思えば、至極真当な分析的アプローチを試み、しかも間違えるという出鱈目だが結構魅力的でもある主役のキャラクタリゼーションがもう少し整理されれば…。そう思わせる終盤の展開ではあった。 | [投票(1)] |
★5 | めぐりあう時間たち(2002/米) | 「痛み」を伴う「生」を描くのに絶妙な間を意識した演出。それが最高ランクの女優と噛み合うと、これほど濃密な空間を産み出せるのであろうか。主演3人とも良いがストリープのリアクション芝居には今更だが舌を巻く。 | [投票(9)] |
★4 | ウディ・アレンの夢と犯罪(2007/米=英=仏) | 余りに何の変化もない直球のギリシャ悲劇もどきで、肝心の修羅場を避けるアレンの根性無しぶりを情けなくも思うが、それを今更言いたくもない老練の余裕綽々に悪ガキ2人の軽い芝居の脱深刻の妙。こうも打つ手がはまる境地に俺は心底憧れるのだ。 | [投票(6)] |
★5 | 裁かれるは善人のみ(2014/露) | 利権亡者の首長と斗う個人という王道的体裁が家庭の崩壊予兆という不穏なエッセンスを内包しつつ重厚な風景リアリズムを伴い圧倒的。だが、映画はそこからサディスティックに更なる連鎖へ突き進む。真冬の海に垣間見えるクジラが誘う地獄の深淵は神話の領域。 | [投票(3)] |
★3 | 幻影師アイゼンハイム(2006/米=チェコ) | 抑制の効いたものとは思うが、抑制が効きすぎてロクに何も起こらないという体たらくではどうかと思うし、況やフラッシュバックの終局が近作『プレステージ』を想起させるのも萎える。そんなことなら、いっそとことん何も無い方が良かったのにとさえ思える。 | [投票] |