★5 | 牝猫たち(2016/日) | 往年の日活映画並に女に対し視線が冷やかそうに見えてしぶとく探求的。3人女の3顛末という図式は陳腐だが内実が豊穣。地道な取材や経験で紡がれた物語だと思う。非情や無責任や自己愛が跋扈する現代に託児バイト業男へ託された一抹の希望。CGは画龍点睛。 | [投票] |
★3 | 十一人の賊軍(2024/日) | 予定調和の死に様と大義欠く情動とご都合主義の展開と安いCGと届かぬ殺陣に塗れて肝心の死んでも与したくない奴らに加担する侠気と護りたい女房への想いは雲散する。新発田藩軸の官軍・連合軍との鬩ぎ合いは笠原の政治力学を継承するダイナミズムだが。 | [投票] |
★4 | 孤狼の血 LEVEL2(2021/日) | 組同士の覇権闘争や組織内の再構築といったパワーゲームの醍醐味は亮平の1本被りの狂犬性により放逐される。已む無く浮させた桃李との個の対決が反リアルな地平でヤケ糞の帰結を迎える展開の剛腕に押さえ込まれる。権力の暴虐を十全に描いたのも良。 | [投票(1)] |
★3 | 関ヶ原(2017/日) | 駆け足のトピック連鎖はコンセプトとして有りだと思うが、肝となる心根にはある程度の感情の納得性を付与せねば持たない。島左近・大谷刑部・小早川秀秋に関してのそれが決定的不足。その分架純に尺を使うのは精進料理にお砂糖。そして定型的滅びが来る。 | [投票(5)] |
★4 | カツベン!(2019/日) | 図らずも長瀬に言わせる弁士無しで映画は既に出来上がってるが周防の本音なら、なんで撮ったのとなるが、嘘がつき通せぬ誠実の顕れとしとこうと思う。消えゆく徒花が繰り広げる廉価な狂躁は未来のない諦念に影さされる。シニカルでらしい映画と思う。 | [投票] |
★5 | ひとよ(2019/日) | 境界線上で落ちかけている兄妹3人が母の帰還を契機に踏み止まる物語で、取り巻く人々や環境描写は乾いた善意を内包する。徒らに絆なる言葉を標榜する時代を俺は嫌悪するが、4人の役者が関係性の行間まで読み切り醸成する空気にはそれがあったように思える。 | [投票(1)] |
★3 | 麻雀放浪記2020(2019/日) | 大して意味無さげな時制の往還は廉価な作りを曝け出し工の熱々しゃぶしゃぶ&目玉焼き素手喰いを激しく空転させる。そして又かのゲームと地下アイドルの矮小化された世界に収斂・閉塞される芸の無さ。安手のコピーに終始する演者の中ももだけは買い。 | [投票(1)] |
★4 | 日本で一番悪い奴ら(2016/日) | 文太・松方あたりで散々やり尽された物語の再構築だし綾野としても成り上がり演技が『新宿スワン』とかぶる。ただ、上場企業から振り込めサギまで日本風土に遍く蔓延する「成果主義」という怪物を徹頭徹尾フィーチャーしようとした点こそ新鮮。 | [投票(2)] |
★5 | 凪待ち(2018/日) | 全篇を遍く覆う居た堪れなさが日常をマイナス転化させるインケツ連鎖。何の言い訳もできぬダメ男に寄り添うほど映画の視点は甘くはないが、それでも彼を必要としてくれる人はいるのだ。正念場の審議が覆る展開も90度傾斜のカメラもベタを確信的に押し通す。 | [投票(1)] |
★3 | レジェンド&バタフライ(2023/日) | くっさいタイトルだが見れば成程本質をついたもんだと思わされる。信長&帰蝶の戦乱の時代を背景にした反目→融和→別離の一大ロマンクロニクル。今の時代にこういうもん作る気概は買いたいが、如何せん題材もキャストも手垢感満載で枠をはみ出すものも皆無。 | [投票(1)] |
★4 | 死刑にいたる病(2022/日) | 『羊たちの沈黙』底浅バージョンめいてるが揺るがない徹底悪な本質が露呈する様は骨太だと言える。居場所のない男が存在証明を希求する展開も筋が通り腑に落ちる。演出白石と演者阿部の再タッグは実力者同士のがっぷり四つの趣きがあり力相撲を堪能。 | [投票] |
★3 | 七つの会議(2018/日) | 萬斎と香川の大時代ガチ顔面技対決が対立軸を逸れて雲散する配役ミスはともかく、所詮は本質トップセールスによる社内改革と五十歩百歩なので凡庸な庶民は出る幕ないという話である。隠蔽と主人公の過剰セールスの帰結が全くリンクしてないのも瑕疵。 | [投票(1)] |
★4 | 碁盤斬り(2024/日) | 剛の豹変は武士の面目だと納得しても果耶のそれは流石にキツい。しかし清流の如き生き様への疑問が工の口から呈されるに至り父娘の不可思議は遊びなきハンドルだと知らされる。屹立するニヒリズムとリアリズム。盤上の指手も十全に活かされてる。 | [投票] |
★4 | 孤狼の血(2018/日) | 『仁義なき』抗争集団劇として台詞の空隙と役者の弾不足が露呈する前半だが、中焦点多用のカメラの包括性と美術の踏ん張りが救う。終わったかに見えた終盤、俄かに映画は継承物語の文脈を獲得しベタなりの強度を纏い出す。パーティ急襲シーンは本篇の佳境だ。 | [投票(6)] |
★4 | 検察側の罪人(2018/日) | 善悪論は置いといて語り口の映画として原田の資質に適合した題材。加速された台詞廻しと編集は許容範囲を超過した情報を盛り込みバックボーンに厚みを持たす。要の取調べシーンでは対峙する空気を推し量りニノの暴走を呼び込んだ。逸脱こそが映画だ。 | [投票(1)] |