★5 | にっぽん戦後史・マダムおんぼろの生活(1970/日) | 日本の男への徹底した不信感と、その反動としてアメリカ男へ寄せる盲目的信頼。言葉を代えれば戦前的封建主義の嫌悪と、欧米的個人主義への傾倒。この彼女の信念は、『三丁目の夕日』的微温体質、あるいはNHK的家族優先主義の対極にある価値観に根ざしている。 [review] | [投票] |
★4 | 女衒(1987/日) | 己の純粋な出世欲を時の日本帝国主義と重ね合わせ盲進した若者がいたとして、それを誰が責められるだろうか。面白いテーマだが物語や、緒方拳や賠償美津子ら常連組みが無難過ぎて迫力不足。今村映画の中での相対評価としては若干物足りない。 | [投票] |
★4 | 海と毒薬(1986/日) | 冒頭から終焉まで途切れることなく緊張が張り詰める。それは、罪を忘れた者たちをじっと監視するように「どこか」から注がれる視線のせいだ。命の質量が軽くなり、比例するように時代の空気が重くなっていることに、この真摯で無邪気な青年たちは気づいていない。 | [投票(1)] |
★5 | 神々の深き欲望(1968/日) | 文明とは古代神道(神々)の畏れに始まり、現代の高度資本社会へと連綿と続く「人間の欲望」の変遷の軌跡に他ならないのだ。では、お前にとって文明とはいったい何なのか、この物語はそう問うている。高度経済成長末期に、その終焉を予期するように作られた傑作。 [review] | [投票(1)] |
★3 | 楢山節考(1983/日) | 人間の生と性が決して特権的なものではない、という警告には深く同意する。しかし、動物や昆虫を繰り返し挿入しても映画的緊張感は分断されるだけで、そこからは何も見えてこない。恐ろしく単純なミス。 | [投票(4)] |
★3 | 千利休 本覺坊遺文(1989/日) | 権謀術数渦巻く武将たちの合戦紀が戦国の男たちの表舞台の物語であるならば、死の予感の静寂とともに己の矜持を冷徹に且つ激しく守り抜くこの戦いもまた、紛れなき乱世の世の男の物語である。その静かな闘いを浮き彫りにする木村威夫の撮影が秀逸。 | [投票] |