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ジェリーさんのコメント: 更新順

★3執拗なサイコ(1950/米)「まっとうに人生と向き合おうとしない男たち」の主題が、博打、酒、胃痛、戦争からの復員などという意匠の下に浮かび上がり、主人公の恋人や寡婦母子の世界との対比がとても鮮やかだ。ヴィクター・ミルナーが撮ると、黒白のノワール的メリハリとはちょっとタッチが違うが距離感の良さが光る。[投票]
★2捕われの町(1952/米)ジョン・フォーサイスがもともと嫌いだが、それでこの点数ということではない。ラストに出てくるキーフォーヴァー上院議員の組織犯罪撲滅メッセージで盛り下げてしまうまでもなく、基本的には退屈な映画である。ただし、広角の深いフォーカスはすごい。[投票]
★3危険な女(1946/米)フラッシュバックのさらに向こうに現在時制と縁もゆかりもないフラッシュバックが存在し、そのフラッシュバックにしか登場しない俳優がいる( ロバート・ミッチャム)という構造の強烈な魅力。完璧に見える女が、実に脆い精神的基盤を抱えている危うさとそういう女に惹かれてしまう男たちの宿命的な弱さがよく描かれた秀作。 [投票]
★2高い壁(1947/米)ストーリーを追いづらいほどシーンが飛ぶので正直わかりにくい。ニューロティック・スリラーには記憶の混濁要素がはいるが、だからこそストーリーの流れはなめらかで透明であってほしい。 どの人物も小物感が強い。病棟内描写のリアリティも今ひとつ感がある。失敗作だろう。[投票]
★3テンション(1949/米) オードリー・トッターという女優に巡り会えただけでも僥倖と言える。ノワール悪女の典型をこの作品に見ることができて嬉しかった。相手役の男のほの暗いコンプレックスを刺激し続けるゆえにノワール女優足りうる。単に性欲を刺激するだけの女ならもっと掃いて捨てるほどいる。[投票(1)]
★3ボディガード(1948/米)小品の価値は、だれないこと、軽快なこと。この鉄則は最低守られた映画。ローレンス・ティアニーは小粒な俳優ではあるが、ボギー並みに悪役も善人役もできる不敵な顔つきの役者で、主役の格を最後まで維持し続ける。砂糖菓子のようなプリシラ・レインと相性もいい。ロケ撮影の乾いた感じは好感持てる。[投票]
★4影を追う男(1945/米)謎が解決されないうちに次から次に新たな謎や正体不明の人物が登場してくる展開は、ハードボイルド映画の典型で文句のつけようがない。瀕死の主人公を助けたのが縁で結ばれた、たった20日間の妻だった女のために主人公が戦う物語展開には心底痺れる。 [review][投票]
★4国境事件(1949/米)メキシコに照りつける太陽はモノクロのフィルムをコントラスト高く灼き上げる。中間色の抜けた白と黒の砂漠の美しさに陶酔する。レタス畑の中で倒れた男に迫るトラクター、泥濘に溺れる主人公。身悶えするような魅惑的なアクションが我々を待っている。必見のB級ノワールだろう。[投票]
★3トゥルー・クライム殺人事件(1947/米)脚本の出来の悪さが、ストレートに作品の質の低さに繋がらないという稀有なケースである。それほど、本作を支えるクロード・レインズの輝きがすごい。しかし⇒ [review][投票]
★3スキャンダル・シート(1952/米)冒頭の2〜3のエピソードで、この映画の登場人物たちのモチベーションがセリフに頼ることなく描かれる。この手際は見事。ブロデリック・クロフォードには類型性を超えた生々しい存在感がある。そのほかの登場人物がややペラペラしており弱点といえる。[投票]
★4グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札(2014/仏=米=ベルギー=伊)超絶的な美女が超絶的な美女を演じるという映画の肝がわかりやすい。確かにニコール・キッドマンの眉やヘアスタイルには、グレース・ケリーの往年の面影があって満足だった。しかし、彼女が本人に瓜二つというわけではない。きっぱりとニコールという女優の個性を打ち出した上でのグレース妃の役作りとなっている。 [review][投票(2)]
★4GODZILLA ゴジラ(2014/米)クライマックスの戦いぶりのコッテリ感こそ、最近のハリウッド映画に感じるバズ・ラーマン的あるいはジェームズ・キャメロン的なくどさであるが、ここだけがたっぷりとしているので、それまでのテンポと変わったことで救われている。どころか、とても良い効果を与えている。 [review][投票(5)]
★4裏切りの街角(1949/米)ノワールの巨匠シオドマクの腕の冴えが見事な作品。この裏寂れたどんづまり感なしにはノワールとはいえない。マスクをつけての、催涙ガスの中のアクションは、もちろん、視界が二重の意味で遮られていることを計算の上での演出。先のなさはこうした小演出からも醸される。[投票]
★4ミステリー・ストリート(1950/米)キビキビした撮影の魅力が炸裂した傑作。安手・ご都合主義、あらゆる罵詈雑言が浴びせられることを承知の上でこの作品は好ましいと断言する。ラストの操車場の活劇(これを活劇と言わない人もいるだろう)の安手さとご都合主義にこそ映画の美しさがある。[投票]
★3アナと雪の女王(2013/米)口パクの唇の開き具合や形が、発音と対応していることに単純に感動し、北の氷の宮殿の山からアレンデール城の方を俯瞰する描写に単純に感動した。それだけだ。しかしそれだけでもすごいことだ。物語に面白さはなく、Boy meets girl ストーリーを再生産してくれた方がよい。[投票(3)]
★2レイルウェイ 運命の旅路(2013/豪=英)大いなる寛容を描き切ることに失敗している。志がどんなに大きくとも作品の器は小さい。以上に尽きる。しかしあえて付言すれば、同時代とあの当時の筆触の違いは許すけれども、同じ時代である限り、海浜のシーンと屋内のシーンの筆触の統一くらいは感じさせて欲しいのだ。[投票(1)]
★3長い夜(1947/米)アパート高層階が主要舞台で、屋根上や階段が時折背景となるノワールというだけでわくわくさせられるドラマだ。黒い色調の中に清楚に納まるバーバラ・ベル・ゲデスがいい。この女主人公の曖昧さがアクションを生み出していく経過がリアリスティック。[投票]
★3ゼロ・グラビティ(2013/米)この空間モデルがヴァーチャルとリアルの二項対立を無効にする。動くキャメラでもって空間を動かして見せた溝口的時代の次の時代をこの映画は圧倒的な皮膚感覚を伴って予感させた。映画はキャメラを通過しない映像を届けることに初めて成功したかもしれない。[投票(3)]
★4サイド・ストリート(1950/米)ニューヨークのみずみずしい活写が実においしい一編。下層都会生活者の哀切さの表現が成瀬巳喜男的な、と言っていいほどに生々しい。その中でも極私的にはジーン・ヘイゲン扮する売れない歌手のエピソードが最も泣ける。 [投票]
★2華麗なるギャツビー(2013/米)映画における創造性減退の一局面を典型的に示した比類なき凡作。手数の多さと効果の薄さがコントラスト強く映る。さんざん登場を焦らした後の主役登場の演出のつたなさに寒さを感じるだろう。1920年代に今の音楽を使った神経の太さは、むしろ買ってもよいと思う。[投票(1)]