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ジェリーさんのコメント: 更新順

★3女は二度生まれる(1961/日)浮草のようにどこにも安住の場所を作ることなく生きていく無知な女と、まずは居所を作って行動するこずるい男たちの対比がうまい。酒場がここまでリアルに描かれた作品はそうはない。伏線が多くてヤマが少ないという作りがやや惜しい。[投票(2)]
★2廃市(1984/日)この原作を映画化する勇気と脚本とロケ地設定と演出と撮影すべて、拍手を送りたいのだが、ただ、キャスティングだけはいただけない。大根の山下規介を除きそれなりに頑張っているだけにいっそう痛々しい。[投票]
★2007/死ぬのは奴らだ(1973/英)ショーン・コネリーとは全く色合いが違うボンド。しかし、ニュー・ボンドにしてはかわいそうなくらいミッションがしょぼい。これでは、街の警察官だ。アクションのワンシーンにばかり力が入り、ダレるわ、盛り上がらないわでよいところなし。[投票]
★3インベージョン(2007/米)B級とは質的に劣るという意味ではなく、映画制作の体制(制作会社、予算やスタッフの陣容、宣伝にかけるコストなど)の規模の概念だが、この作品は堂々と大スターを使ってB級を志向した大作映画という気がする。 [review][投票]
★3最高殊勲夫人(1959/日)良い意味でグロテスクな艶笑喜劇。そこに妙なホームドラマのテイストも交じり合う。この時期、こんな作品があることはちょっとした奇跡だと思われる。この時代のカラー作品固有の暖色系で色数が多い画面であるが、特に赤色が至上の幸福感を醸し出す。[投票]
★2上海陸戦隊(1939/日)軍が全面的に関与している正統的国策映画。軍に見えているパースペクティブの全てが描かれていると思うと、それはそれでひとつのリアルな映画なのである。負傷後、後方に移送されるのを嫌がる兵隊が登場するが、当然ながら後方静養後、前線に戻るのを嫌がる兵隊はこの映画に出てこない。[投票]
★2銭形平次捕物控 まだら蛇(1957/日)役者におもねったプログラムムービーに過ぎないのだが、多少ともわくわくさせられたのは、小判の刻み文様の謎解きシーンと、それまでの地味な姿から艶やかに振袖姿に変化した美空ひばりの匂うような女らしさ。黒川弥太郎はどこから見ても同心に見える。[投票]
★2日本一のホラ吹き男(1964/日)植木等が音楽的にも演劇的にもレビュー的にも突き抜けた身体的素養を持たないことは、どの映画を見ても歴然としている。それを→ [review][投票]
★3007/サンダーボール作戦(1965/英)前三作までは、大変引き締まった筋運びが魅力であったが、このあたりから贅肉がつき始めた感じ。金が賭けられるようになった分、好き勝手なことをやっているという気がする。クローディーヌ・オージェの清新な魅力は前作ボンドガール選考のいまいちさを一掃した。[投票(1)]
★3007は二度死ぬ(1967/英)爆笑ものの日本を見られる。この笑いに鑑賞を邪魔される我々日本人の楽しみは、パインウッドスタジオにしつらえられた壮大なロケット基地のセットのみ。米ソの軍首脳陣のシーンや宇宙シーンのチープさは今見るとかえって新鮮だが、シーンごとのムラッ気はこのシリーズ特有の弱点。[投票(1)]
★3夜の河(1956/日)女の倫理と女の官能という相矛盾する要素を、山本富士子がしっかりと描いて見せた。才能があり、直情で、芯のしっかりした染物師きわという人物が水際立った口説として、抱かれるとぐったりとなる体の重みとして、男の唇を請う女の唇として実体感をもって出現した。[投票(1)]
★4揺れる大地 海の挿話(1948/伊)2時間半の中に困難と貧困をひたすら救い無く描きこむという、逃げも隠れも出来ないテーマに取り組んで、雄渾かつ格調の高い画力をもって成功した作品。長男らしい長男と長女らしい長女の崇高な顔つきが、人の尊厳の根源を示す。そしてなんと素晴らしい構図![投票(2)]
★3ドリームガールズ(2006/米)音楽映画には、突如出演者が歌いだす奇天烈なシーンがあるが、この映画では音楽映画全盛時代のそれよりも、さらに徹底されている。ステージの1シーンとしての歌よりも、これら日常の劇進行中の歌のほうが面白い。舞台劇を映画化することの付加価値はここにある。[投票]
★3赤い天使(1966/日)作品に込める監督の心熱がたぎりすぎたせいか不即不離の均衡感覚を失い、主要な男性登場人物の性衝動が観念論のレベルにまで煮詰まってしまった点、これは見事な失敗作かと思ったが、若尾文子だけは剥き卵のようにつるりと新鮮で無垢だから、やはり予想外の佳作と言おう。[投票]
★4太陽を盗んだ男(1979/日)犯罪者の人間的内面を描きつつも勧善懲悪を墨守した『天国と地獄』に堂々と拮抗して、犯罪映画の別の可能性を明示した傑作。この映画は、勧善懲悪にもつばを投げかけ、重い現実だと思っていた秩序の予想外の軽さを主張したところに映画史的価値がある。 [review][投票(3)]
★2ミス・ポター(2006/英=米)予定調和に向けて疾駆し続ける前半部分で辟易しかけたところ、避暑地に手紙が届いたあたりから映画は生動し始めたようにも見えた。しかし、ここも肩透かしを食う。結局さらさらと流れすぎ。映画とは、あるいは映像とはもっと生々しくあるべきだ。[投票(2)]
★4記憶の棘(2004/米)緩やかな律動感がよい。意識の表面上のさざめきの下の深い人格全体の地崩れの様相の表現が大変深い。壊れものそのものである人間の心のありようがビスク・ドールのような生々しさで伝わる。ラストの花嫁のすすり泣きが強く胸に迫り、忘れられない作品となった。 [review][投票(2)]
★2サラマンダー(2002/英=アイルランド=米)この手の生き物で世界滅亡までもっていった世界観が既に破綻している。ただ、ドラゴンを徹底して即物的に生物として描き、伝説の生き物にしなかったところや、廃墟のロンドンのイメージはとてもクール。[投票]
★4マリー・アントワネット(2006/米)ドラマと歴史の間、およびポップアートとクラシカルアートの間に一本の道を通すという難題に挑戦し成功している。王朝物らしい儀式性をふんだんに表層に用いながら嘘と真実の区別などどうでもよい高みにまで映画を引き上げている。ロックミュージックの意表をつく導入は確信犯的かつ高雅。[投票(3)]
★2犬神家の一族(2006/日)セットの妙な真新しさやライティングの照りの強さなどは、近作『かあちゃん』と比べても見劣りがする。役者も決して前作登場者含め旧作に比べ向上しているわけではない。ただ、佐清と松子を演じた尾上菊之助富司純子が実の母子であるという点、ぐっと来るものがある。[投票]