ジェリーさんのコメント: 更新順
スター・ウォーズ 最後のジェダイ(2017/米) | 「有る」という以外この映画、コメントのしようもなくなった。キャラの創出と清算に関するためのなさはシリーズ通じて相変わらずだ。 | [投票(2)] | |
ブレードランナー 2049(2017/米=英=カナダ) | 凡庸な倫理学の霧が全編にたれこめる息苦しい一編になった。テクノロジーを使えば何でもできたはずの制作陣がプレッシャー負けした印象が強い。レプリカントという映画世界の記念碑的異人創出の金字塔となった前作のイマジネーションには届いていない。 [review] | [投票(1)] | |
面の皮をはげ(1947/仏) | 暗黒街大立者の味わいを十分に楽しめる作品。昔の女の登場シーンではじんとくるものがある。ただし、ストーリーは底が浅い。やたらに酒場が明るいのも、この手の映画としては場違い感がある。女優二人は魅せる。 | [投票] | |
真夜中まで(1949/仏) | ルイ・ジューヴェの辛口の気韻に酔わされる一作。公と私とが不幸な交錯をしてしまう時の身の処し方を、ルイ・ジューヴェが渋く演じ切った。いかにもなノワールな女アンヌ・カンピオンの退廃さと、ノワールらしくないマドリーヌ・ロバンソンの高貴さの対比が強烈な芳香を放つ。 | [投票(1)] | |
誰か夢なき(1947/日) | 戦後民主主義的婦女子恋愛啓蒙映画。「あるべき恋愛」を謳いあげる。固いセリフ、固い展開には当時の世情や主張が切々と込められており、今となっては芸術としてではなく時代相の貴重な記録映画といえる。この固さに実によく藤田進 と野上千鶴子 がマッチする。 | [投票] | |
ラ・ラ・ランド(2016/米) | エマ・ストーンがエレノア・パウエルに勝てないのは、テクニックの差とは言わないようにしよう。それは時代のせいである。それは、ライアン・ゴズリング扮するしがないピアニストが、好きなジャズで世に出られなかったのとまったく同じだ。時代のせいなのだ。 [review] | [投票(5)] | |
シン・ゴジラ(2016/日) | 登場人物は多かれど、悪化する事態に皆なすすべもない。描かれない細部は確かに複雑なものがあろう。しかし、描かれている状況自体はシンプルそのもの。いったん落着を見出すという劇映画の御定法一点を除けばこの映画、実に夢に、特に悪夢に構造が似ている。 [review] | [投票(5)] | |
殿、利息でござる!(2016/日) | 普通「劇的でない」ことは劇映画にとっては致命的なのだが、本作は例外。この登場人物たちの取り組みのヒューマニスティックな重さを、駘蕩とした演出であえて軽く表現したことで、日常的な営為がもつ、劇的な営為が束になってもかなわない重要性を示しえたのはお手柄だ。 [review] | [投票(2)] | |
スター・ウォーズ フォースの覚醒(2015/米) | エピソード4、とすら言われなかった「スターウォーズ」からずっと、このシリーズを封切りで見ている私にとって、デジャヴ以外のなにものでもない。そういう作りになっているからだが、光線銃やライトセーバーやミレニアム・ファルコン号に熱狂した40年近い前の感動を求めるのはもう無理でしょう | [投票(1)] | |
007 スペクター(2015/米=英) | 酒と女と騒動を楽しむためにかりそめにスパイをやっているようなスパイだったのがショーン・コネリーとすれば、ダニエル・クレイグは初代のような不謹慎さを漂わせない、この仕事を天職と受け止め任務にひたすら忠実なリアルなスパイである。素の部分の肌合いの違いが面白い。 [review] | [投票(5)] | |
窓(1949/米) | 短尺72分に凝縮される圧倒的なサスペンス。ストーリーラインが人物の動きの絶妙なすれ違いによって構成されており、この見せ方の順序が強い緊張感を生み出す。ブルックリンの古アパートの活用の仕方も冴えており、ここを舞台にしたラスト10分がたまらない。陰影の効いたモノクロ撮影も美しい。 | [投票(1)] | |
ハリー叔父さんの悪夢(1945/米) | 過激なアクションも極端な画面操作もなく舞台劇のように撮られていながら、じわじわと人間の悪意が観客に迫ってくる。ジェラルディン・フィッツジェラルドとエラ・レインズが持ち役を交換したかのようなキャスティングになっているが、これがすばらしい効果を生んだ。 | [投票] | |
アンダーワールド・ストーリー(1950/米) | 小品ながらも良いのは、登場人物のキャラ描写が一貫しているからである。曖昧かつ狡猾に揺れ動く人間の曖昧さと狡猾さの描き方が的確、というともっと正確だろう。ダン・デュリエのとかげ顔とハワード・ダ・シルヴァのへび顔が役柄にぴたりとはまり、小気味よい。 | [投票] | |
暗闇に響く銃声(1951/米) | 各登場人物の描き込みが、ストーリー失速を恐れず丁寧になされている。中でも主人公スペンサー・トレイシーの造形がよい。酔いどれからなんとかもがきだそうとしている男の人生が、彫り深く刻み出される。ジョン・オルトンの完璧な陰影操作が画面を美しく荘厳する。 | [投票] | |
武装市街(1950/米) | カール・ドライヤーやアルフレッド・ヒッチコックのもとで目の覚めるような撮影技術を見せつけたルドルフ・マテのB級らしい傑作。悪役を追い詰める呼吸は、さながらフリッツ・ラングのような容赦なさと小気味よさを両立させる。ラストのシーンの地下感覚は『M』や『大いなる神秘 第1部 王城の掟』を思わせる。 | [投票(1)] | |
ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015/米) | くたびれてきたとは言え一人の男優が主役張り続けているこのシリーズはやはりえらい。前作の落下の主題を中心に据えたアクションに対して、今回は狙撃や催眠ガスや水中侵入など、多くのシーンが「息を止める」という生理的に困難な状態で主題化されていて、違いを作ろうとしている努力もえらい。さらに⇒ [review] | [投票(4)] | |
イット・ケイム・フロム・アウター・スペース(1953/米) | 出来栄え的には笑い飛ばすしかない有様。カットつなぎのひどさは稀有と言っていいレベル。誰からの視点かがよくわからないショットの存在にもいらつかされた。それでも、アメリカ人の都市伝説としての宇宙人のイメージを伝える貴重な記録ではある。 | [投票] | |
執拗なサイコ(1950/米) | 「まっとうに人生と向き合おうとしない男たち」の主題が、博打、酒、胃痛、戦争からの復員などという意匠の下に浮かび上がり、主人公の恋人や寡婦母子の世界との対比がとても鮮やかだ。ヴィクター・ミルナーが撮ると、黒白のノワール的メリハリとはちょっとタッチが違うが距離感の良さが光る。 | [投票] | |
捕われの町(1952/米) | ジョン・フォーサイスがもともと嫌いだが、それでこの点数ということではない。ラストに出てくるキーフォーヴァー上院議員の組織犯罪撲滅メッセージで盛り下げてしまうまでもなく、基本的には退屈な映画である。ただし、広角の深いフォーカスはすごい。 | [投票] | |
危険な女(1946/米) | フラッシュバックのさらに向こうに現在時制と縁もゆかりもないフラッシュバックが存在し、そのフラッシュバックにしか登場しない俳優がいる( ロバート・ミッチャム)という構造の強烈な魅力。完璧に見える女が、実に脆い精神的基盤を抱えている危うさとそういう女に惹かれてしまう男たちの宿命的な弱さがよく描かれた秀作。 | [投票] |