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★3ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー(2010/仏)すでに聞き知った挿話であろうと、ヌーヴェルヴァーグの代名詞たる三者の因縁話の「映像」をただ心穏やかに眺めやることなど尋常の映画ファンにはできっこない。それにしても被写体としてのゴダールトリュフォーの格好よいこと! 彼らは自身が文字通り主演級のルックスの持ち主であることを知っていた。[投票]
★3月世界旅行(1902/仏)書割芝居にすぎないが書割自体のデザインは面白い。換言すれば、画心はないが絵心はある。砲弾型ロケットを発射台に押し込める女性たちの衣裳がむやみに肌を露出させていてマック・セネットのベイジング・ビューティーズのよう。あるいは単に観客の欲求を満たそうとするジョルジュ・メリエスの興行魂か。 [review][投票(3)]
★3宇宙人ポール(2011/米)米国において字義通りのエイリアンでありながら英語の使用によって言語的交流を図りうる英国人主人公と使徒の名を持つ地球外生命体は質的に近しい。(初めて訪れるコミックコンに懐かしさを覚えるような)異郷に親しみを見出だす感覚=映画の作用を生きる彼らは過去の映画について言及せずにいられない。[投票]
★4掠奪の町(1941/米)ともにデビュー二年目ころのウィリアム・ホールデングレン・フォード。後年に備える風格を予感させるところは微塵も持っていないが、両名ともびっくりするほど現代的なハンサム顔だ。だってブラット・パックの一員だよ、なんて耳打ちをされたら思わず信じてしまいそうだ(と、これはさすがに筆滑り)。 [review][投票(1)]
★3朱花の月(2011/日)イッツ・ジャスト・河瀬直美。単なる中年男女の痴話を語るに万葉歌を持ち出し、壮大な世界観をせせこましく描くなどいちいち極端で大胆不敵。時制表現が流行遅れでも一向に意に介さない。相変わらず下品なカメラ、材を奈良に求め続ける姿勢も含めて、ここまで来れば私だってシャッポを脱ぎかけてしまう。[投票(1)]
★3庭にお願い(2010/日)短い。もっと見たい。より多くの演奏場面と人格に踏み込んだ取材があれば、菊地成孔が強調する倉地久美夫の「天才」が、ここで初めて彼の音楽に触れた私にも頷けたかもしれない。また私の耳からすれば、菊地・外山明とのトリオ演奏が最も聴きどころに富んでいる。というか外山さんのドラムスが凄すぎる。[投票]
★4アトムの足音が聞こえる(2010/日)確かに大野松雄は天才に違いないと了解する。正しく被写体=大野の人柄に多くを負ったドキュメンタリだが、「音響デザイン」は有声映画の根本に関わる問題でもあり、大野や関係者との出会いは今後の冨永の作品に小さからぬ影響を及ぼすだろう。パードン木村はちょっとハシャぎすぎ。気持ちは分かるけど。[投票]
★3トワイライトゾーン 超次元の体験(1983/米)オムニバス作品となれば各篇の優劣を問うのが人情か。ダン・エイクロイドアルバート・ブルックスによるプロローグが最もマシであると云う人がいても私は不審に思わない。「ドラマ主題曲の当てっこしようぜ!」との台詞から予想される展開・結末と寸分違わぬ光景が繰り広げられて早くも達観の境に至る。 [review][投票(3)]
★3トーキョードリフター(2011/日)冷たい雨が打つ夜。独奏独唱のみに可能な瞬間的即興的アレンジメントと背景が奏でる不/調和、前野健太の異物感が臓腑に響く。「コーヒーブルース」〜「国歌コーラン節」が特によいが、さすがにバンドサウンドの広がりも欲しくなってきたところでの終幕曲「トーキョードリフター」の開放感もすばらしい。 [review][投票]
★3RONIN(1998/米=英)トム・クルーズアンジェリーナ・ジョリーなど近年同じように市街地で滅茶暴れをした超人らと比べると『RONIN』の男女は銃火器・自動車に頼って肉体の酷使を厭うている点で物足りない。その意味でロバート・デ・ニーロステラン・スカルスガルドが柄にもなく走り回る円形競技場シーン後半はよい。 [review][投票(1)]
★3URAMI〜怨み〜(2000/カナダ=米=仏)ややリアルの割にまるで身につまされない訓話。主人公の追い詰め具合が圧倒的に程々でオムニバスの一篇のようなスケール感だ。ただし抑圧された自己をfacelessと表現してしまうノークッション発想法はさすが現代ゾンビの生みの親である。『千と千尋の神隠し』と同年公開という符合におそらく意味はない。[投票]
★4東京暗黒街・竹の家(1955/米)情無用の街』のリメイク。ということは脚本ハリー・クライナーのみならず撮影ジョセフ・マクドナルドも両作に共通するスタッフだが、一方が黒白・スタンダード、他方がカラー・シネスコという点も含め、ルックに関して類似を見出すことはほぼ不可能だ。敢えて優劣をつけるならば、むろんこちらが上だ。 [review][投票]
★3カウボーイ(1958/米)憧れと現実の齟齬を題材にしてジャック・レモンを起用しながら喜劇ではない、という企画が攻めてる。レモンの造型の混乱は単に脚本の不備だろうが、サイコパス寸前のようにも見えて興味深い。また夜間シーンが不吉に撮れているのもいい。毒蛇を使った悪ふざけがあっけなく死に繋がってしまうあたりなど。[投票]
★4蒸気船ウィリー(1928/米)バスター・キートンから材を得たウォルト・ディズニーは形状主義とでも云うべき誇張された身体表現の視覚性で「映画」の延命を図る。一方、あらゆる動物が楽器化して「わらの中の七面鳥」を奏でるという常識外れの着想は、しかし「効果音」と「音楽」を未分化に捉えた点から云えばむしろ「現実」である。[投票]
★3プレーン・クレイジー(1928/米)初め無声映画として構想されたためか、「変形」に対する欲望は『蒸気船ウィリー』以上に度を越している。実に滑らかなアクションが持続するが、操縦士ミッキーの一人称視点で飛行機の暴走を描いたカットが再現性において迫真だ。ただし、拒絶を無視して力ずくで女の唇を奪うミッキーは刑法に触れている。[投票]
★5勝手にしやがれ!!英雄計画(1996/日)黒沢清が描く終末の景色。前作『成金計画』ラストシーンから漂い始めた不穏な気配が、ここでは全篇にわたって画面に立ち込めている。寺島進を中心に拡大する狂信的で偏狭な「正義」の風景は、本シリーズでほぼ初めて描かれる、この複雑な現実と地続きの恐怖だ。もう『カリスマ』の輪郭は浮かびつつある。 [review][投票(1)]
★4勝手にしやがれ!!成金計画(1996/日)シリーズでも飛び抜けて滅茶な作がこれだ。ヘロイン仲介業の高土新太郎や狂犬の立花つくしなど異様な造型を強いられた素性不詳の俳優たちが入り乱れ、ループ展開を空虚な混乱が支配する。また、銃撃戦の欲望を抑えきれなくなった黒沢清の喜劇演出が幸せなナンセンスにしらけきった陰惨さを混入している。[投票]
★3勝手にしやがれ!!逆転計画(1996/日)シリーズ第四作にして、ここまで絶妙に回避していたマンネリスムに若干足下をとられている。黒沢清が演技指導に真価を見せる監督でないにせよ、あまりに客演者の魅力を引き出すことに無関心でもある。だが福引や人生ゲームのシーンを見ても明らかなように、笑いの喚起力は依然日本映画でトップクラスだ。[投票]
★5勝手にしやがれ!!黄金計画(1996/日)黒沢清の最も幸せな映画。闊達自在に躍動する藤谷美紀はシリーズ最良のヒロインだ。彼女が歌う「車にゆられて」は『ドレミファ娘の血は騒ぐ』よりも遥かにミュージカルらしい幸福感を呼び込む。前田耕陽も著しい成長を見せ、哀川翔との黄金コンビはここに確立する。大鷹明良の奇矯な造型も普通ではない。[投票(3)]
★4勝手にしやがれ!!脱出計画(1995/日)哀川翔の天才の証明。まったく独創的な台詞回しと身のこなしだ。もう「木村くん」という発声だけで笑える。また、ここでも被写体の配置/移動演出が「映画」を形成している。そして物語は最大級のいいかげんさで展開するが、シーンが「覚悟」にまつわるとき、抜き差しならぬ切迫した感情が顔を覗かせる。[投票]