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赤い戦車さんのコメント: 点数順

★4マルクス二挺拳銃(1940/米)人気凋落後に分類されるがマルクス兄弟の中で最も偏愛する一作。マルクス兄弟×西部劇というのもあるが、これまでの作品より照明のコントラストが激しく、縦構図もさりげなく多いことが一つ。また、ハーポのいつものソロ演奏にインディアンの笛とのデュエットがあるのも良く、何より最後のダイナミックな列車アクションが素晴らしい。[投票]
★4愛の地獄(1994/仏)このシャブロルは他作よりサスペンス嗜好が前面に出ていて面白い。窃視、尾行、扉、停電。中々の出来栄え。[投票]
★4ルイスと不思議の時計(2018/米)ややもするとイーライ・ロスの中で最も完成度が高いかもしれない。色彩と陰翳がしっかりと付けられている渋い画面。「キャロル」と並んで近年最高のケイト・ブランシェット。円の主題による統一とウェルズへの目配せ。昨今のファンタジー映画の中では地に足がついていて好感の持てる仕上がり。[投票]
★4ANON アノン(2018/独)非常に野心的な映画と思う。視覚をハックする殺人者というアイデアが中々に面白く、警察の捜査も被害者の遺した主観視点の映像をもとに行われるのだが、核心に迫るにつれてどの視点が本物でどの視点が幻覚なのか曖昧さが増し、映画の視点・記憶の不確定性にまで鋭く言及していく構成に唸る。 [review][投票]
★4Gガール 破壊的な彼女(2006/米)こういうのを撮らせるとライトマンはさすがだ。スーパーウーマンが彼女になるというラブコメ的前半から、元カノにストーキングされ様々な嫌がらせを受けるという逆転構成の妙、その嫌がらせの数々が超能力者ならではのスケール感に満ちているのも良い。相当に笑える。[投票]
★4恋は邪魔者(2003/米)ポップな色彩と豪華な衣装、ツボを押さえた笑いは60年代ラブコメの回顧に留まらない面白さ。よく出来ている。[投票]
★4手紙は憶えている(2015/カナダ=独)老人の緩慢な動作を逆手に取って、記憶喪失・拳銃・犬など大小さまざまなサスペンスを展開させ持続させる。そもそも開始25分までこの老人の目的が何なのかさえ分からない大胆さが良い。衣服の着脱や手紙の見せ方も見事。[投票]
★4ドリームハウス(2011/米)これは拾い物。アメリカ映画が長年主題にし続けてきた「家へ帰る」ことが見事に変奏される。どことなく悲哀を帯びた役者陣、虚実を浮かび上がらせる照明術、充実したセットの使い方、それぞれ見ものである。こういうのを劇場で月一ペースで見られるなら文句ないのだが。[投票]
★4雲から抵抗へ(1978/伊=独=英=仏)少々後半が緩むけれども、本作の前半の厳格さはブレッソン以上のものだ。殆ど極北といってもいい。これしかない、という場所にカメラを置き、フレーミングする。そうすれば何を撮っても映画になる。ジャン・マリー・ストローブダニエル・ユイレはそれを知っている。[投票]
★4ライ麦畑で出会ったら(2015/米)男と女と車1台あれば映画は撮れるという金言に忠実に撮られている。凄いとか傑作とかそんなんじゃないけど、好み。端役まで良い顔の役者が揃っててアメリカ映画は豊かだな、と。中々の拾い物でした。[投票]
★4幻の薔薇(2010/仏)アモス・ギタイだけでなくレア・セイドゥーの代表作にもなりうる。デジタル撮影の即物性を駆使し、劇中の出来事を常に「今」「目前」で起こっているものとして捉えていく。レア・セイドゥーが行動を起こす瞬間、何らかの決意を見せる瞬間。そうした瞬間さえ捉えていれば映画にはエモーションが宿る。傑作。[投票]
★4秋のマラソン(1979/露)ソヴィエト版『柔らかい肌』です。監督は絶対観てたと思います。面白さも負けず劣らず。[投票]
★4身分証明書(1964/ポーランド)天衣無縫、という言葉が似合いそうなスコリモフスキの処女作はそのカメラの縦横無尽な動きっぷりが、映画を撮ることの歓びと作家の清新な初期衝動を全面的に吐露している。これだけカメラが動くと画面が蔑ろにされてもおかしくなさそうだが、何故だかそういった風には見えてこない。この監督は、アクションを最もエキサイティングに見せる視点がどこに存在するか、本能的に知っている。[投票]
★4モーゼとアロン(1975/仏=独=伊)円形の野外劇場という限定された舞台だが、こんなに多彩なアングル、ポジション、カメラワークが存在するのだ。それらを正しい順序で繋いでいく能力がほとんどの監督に無いだけであり、ストローブ=ユイレはカメラを左右にゆっくりパンしていくだけで圧倒的な映画性を画面に刻み込んでみせる。風によって衣や木々の揺れる様、蛇ののたうちなど最小限の運動で最大の効果を創出していく。 [review][投票]
★4発禁本 SADE(2000/仏)このスリリングな視線の交錯を観ればブノワ・ジャコが相当な才能の持ち主であることがすぐに分かるだろう。アップ主体ながら音響や視線でオフスクリーンを絶え間なく意識させる。そして何より行動(アクション)を描くその映画らしさ。ジャンプカットなどもお遊びではなく「これしかない」という確固たる意志が感じられる。この監督はもっと評価されてよい。[投票]
★4肉体の森(2010/仏)見る者はまた見られる者であったのか、何も説明せず端的に行動で示していく異様なまでの面白さよ!特に、操られているのか自分の意志でついてきたのか明示せず、2人で森林や山道を彷徨する前半は各シーン各ショットで弩級の充実を見せ付ける。後半の取調べは記録係の筆記音を強調してもっとオフの空間を意識させてもよかったか。しかし、これは紛れも無い傑作。ブノワ・ジャコはもっと日本の映画人口に普及されねばならぬ。[投票]
★4エレナの惑い(2011/露)ベルイマン的辛気臭さが活劇性を殺しているように見えた『ヴェラの祈り』に比べると、(物語ではなくショットの)予測不可能性が上回る分こちらの方が面白いように私には感じられた。しかし、あの傑出した『父、帰る』を処女作に持つ監督にしては随分小ぢんまりと纏まってしまっている(悪い、とは言わないが)。ナジェジダ・マルキナが日常的な作業や歩行を繰り返すショットの切れ味が良い。[投票]
★4つかのまの愛人(2017/仏)好調時の切れが久々に戻ってきていて満足。何もしない、何も起きない、そういった日常の倦怠を描かせると、フィリップ・ガレルは輝く。[投票]
★4夜の流れ(1960/日)OPやダンスシーンなどの軽快な編集は川島によるものだろう。大人数が画面内で入り乱れるシーンも恐らく川島。それに比べて成瀬は編集テンポが違い過ぎてえらくちぐはぐな印象を受けるが、そこを無理やり一本の映画にまとめ上げている辺りが観ていて結構新鮮で面白い。あと司葉子を筆頭に女優陣が超艶やかに撮られていて眼福。[投票]
★4ミスミソウ(2017/日)原作既読。映画ならではの細かい脚色が序盤からあり、よく工夫されている。また、暴力描写も妥協が無く高水準。回想も断片化させることで映画から遠ざかることを最後までどうにか回避できている。ショットに官能性を求めすぎるきらいはあるが。『ドロメ』や『鬼談百景』の短編など、この監督には今後も期待したい。3.5[投票]