コメンテータ
ランキング
HELP

赤い戦車さんのコメント: 点数順

★4マン・ハント(1941/米)ラングの凄みはむしろロンドンに着いてからの充実ぶりにある。ジョーン・ベネットとのロマンスコメディ的な部分と、追っ手が迫るパートの緊張感。この不協和な面白さが突如恐怖と絶望に変わるラストは筆舌に尽くしがたい。また、主人公に危機が近づくと決まって「円」「球形」のモチーフが出てくるところもラング的。[投票]
★4シェルブールの雨傘(1964/仏)原色を巧みに使った60年代らしい色彩感覚の極致。美術と照明の達成度も素晴らしい。『プレイタイム』にも通じる平等さ。[投票]
★4地獄の警備員(1992/日)画面造型はここでも見事なものだ。的確な美術と照明が、単なる雑居ビルを非日常的な空間へと変貌せしめている。フーパーから遠くターナーに至るまで、参照項は無数にある。[投票]
★4銃殺(1964/英)元が舞台劇なだけあって地味な作品だが十分面白い。黒澤明羅生門』に影響されたと思しき雨が降り続く中、ロージーらしいきめ細かな照明と画面内に的確に配置された鏡、ランプ、煙、大砲の音等の要素が、効果的な長回しと共に用いられ、目の離せない緊張感を生む。ダーク・ボガードは本作でも素晴らしい演技。[投票]
★4孤独な天使たち(2012/伊)近作はあまり良い出来ではなかったのでどうかなと思いつつ鑑賞したが、ベルトルッチ老いてなお健在なり。瑞々しい役者2人の芝居一挙一動を、この監督らしい自由なカメラワーク、深みのある豊かな照明、稚気溢れる演出が全面的にサポートする。そしてラストカットはまるでトリュフォーじゃないか、改めて惚れ直しましたよ。『シャンドライの恋』を超え、『ラストエンペラー』以来の傑作。[投票]
★4愛のそよ風(1973/米)海、高所からの風景、ロー・キー、過去に囚われる人間たち。やはり本作でも一貫した主題が取り上げられている。実に大人な映画。[投票]
★4探偵事務所23 くたばれ悪党ども(1963/日)野獣の青春』と合わせて観るべき。ハードボイルドと清順演出は意外と相性が良い。[投票]
★4L.A. ギャング ストーリー(2013/米)車や夜の濡れた路面にとても良い光沢がのっている。まず照明の見事さを褒めたい。銃撃戦や人物描写にはマイケル・マンの影響もあるだろうか(撮影はディオン・ビーブ)。細かいカット割りだがきちんとアクション繋ぎになっているし、たまに長いショットが混じるのも良い。クリスマスツリーの飾りが吹き飛ぶ様や突然ボクシングをし始めるのも面白い。こういったケレンを何の臆面も無くやってのけるのがアメリカ映画の強み。[投票]
★4天国の門(1981/米)圧倒的な映像、画力でひたすら押してくる文字通りの力作。力作過ぎて疲れる面も。[投票]
★4ションベン・ライダー(1983/日)これもまた運動そのものの快楽を追求した作品と見ることができる。成功するか失敗するか、綱渡りのようにギリギリのところを突っ走る長回し。しかし照明の当て方を見れば、これが素人のお遊び的なものではなく、非常に考え抜かれたカメラワークであることがすぐわかる。多くの場面においてロケーションがその場所であらねばならない物語的な必然性は皆無。破綻など最初から気にしていないような豪胆ぶりに驚く。[投票]
★4剣鬼(1965/日)馬を走って追いかけちゃう荒唐無稽さがまるでキートン。花の色鮮やかさも良い。[投票]
★4フレンジー(1972/米)変態クールネス。ヒッチコック映画には女優を見る楽しみというのもあるのだが、本作にはそれがない。モノとして扱われる女性たち。じゃがいもを漁る場面や料理のブラックユーモア。顔が引きつる。[投票]
★4何も変えてはならない(2009/ポルトガル=仏)物語的な意味から解放された純粋音楽映画。まるでグリフィスや最初期の映画群を想起させる強い画面の数々。オフスクリーンの活用も見事だが、ペドロ・コスタは照明によってフレーム内にも見えない部分を作り、更に映画の可能性を拡げようとしている。[投票]
★4ヴェラクルス(1954/米)単純明快な活劇具合(馬の疾駆する場面の速度感!)に言語化しがたい入り混じった人間感情、突き放した視点の数々。初期作にしてその特徴が早くも表れており、何だか嬉しくなってしまう。やっぱりアルドリッチは偉大だ。[投票]
★4トゥー・ラバーズ(2008/米)やはりこのジェームズ・グレイという監督は本物。冒頭から息を呑む迫力に圧倒される。いささか鈍重だが、その足取りはアメリカ映画の王道を進む堂々の貫禄。ホアキン・フェニックスの視点(窓を通じたカットバックでグウィネス・パルトロウのアップを映さない)で最後まで統一しているのが良い。また、屋上の蒼が素晴らしい。[投票]
★4ファミリー・プロット(1976/米)絶妙に緩い。それは決して演出力の衰えなどからくるものではない。ヒッチコックがいよいよ透明になってきたのか。映像のリッチかつ深みのあるゴージャスさ。わけがわからないのに目が離せない。ただ一つ言えるのは、本作は映画ならではの楽しみに満ちている、ということだ。[投票]
★4ミッドナイト・ミート・トレイン(2008/米)勢いの緩まぬ荒唐無稽さが心地よい。全く意味をなさないホテルへの潜入場面や、鉤爪で地下鉄に飛び乗るところなんてその最たるもの。殺人鬼の寡黙さも良い。行動=アクションで物語が展開していくからだ。また、メタリックな映像の質感が素晴らしい。血のテカリ、鉄のテカリを見事に捉えている。[投票]
★4召使(1963/英)カットを短くしないことは編集権を確保するための方便だったとのことだが、しかしそれにしてもこの緊張感は凄まじい。水の滴る音や外部の騒音など耳に関する演出も見事。[投票]
★4シルビアのいる街で(2007/スペイン=仏)確かに面白い。嫌味なくらい計算されている。キアロスタミブレッソンロメールといった辺りを巧みに取り込んでいる。しかしこれでは演出が勝ち過ぎていると思うのだ。例えばオリヴェイラゴダール鈴木清順イーストウッドの映画にあるような「げげ、コイツ何考えてやがんだ!?」という驚きが存在しない。 [review][投票]
★4殺し(1962/伊)既にしてベルトルッチ的な官能性が随所に見られる。公園の容疑者たちを次々と捉えていくショットの何という快楽!最初の回想は『羅生門』、次の回想はドタバタコメディ、軍人のはヌーヴェルヴァーグのような街頭ロケが面白すぎるし、サンダルの男はノワール的で、若い男女4人組の青春映画っぽい瑞々しさ(突然の歌!)も良い。21歳にして様々なジャンルを横断してしまうその才能、恐るべし。[投票]