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[コメント] ゆきゆきて、神軍(1987/日)

裁くのは俺だ。
モモ★ラッチ

を地で行く奥崎氏。

ドキュメンタリーであろうがそこには作り手の作意がないわけがない。カメラの前で自分の役割を演じつつ悦に入っている人間の陶酔した姿を見て、反吐の出るような生理的嫌悪感を感じ、見るんじゃなかった、後味が悪かった、もう見たくないと思うのは、この映画がそれほど衝撃的だったからで、むしろほめことばのような気がした。

この人物のやっている行為を正しいとは思わなくとも、当の本人は自分が正しいと思ってやっているのだろう。普通は自分が正しいと思っても他人がどう思うかはとても気になる。その視線を鬱陶しいと感じたとしても他者との関連性を無視しては生きてはいけない。かといって、その視線を完全に無視しているのではなく、むしろ、自分に向けられるその好奇な視線を楽しんでいる節さえうかがえる。もうその時点でいくら正論を吐いていようが受け入れられるわけがない。いや、むしろ意図的に受け入れられないことを望んでいるような気さえした。

この人は失うものも、恐れるものもないのだろう。そういった意味では、強い。その強さから来る強烈なインパクトが、先に挙げた嫌悪感をやや中和させ、この映画を見続けさせた要因だったような気もする。

この人をここまで駆り立てるものはなんなのか。理解しかねつつも、それだけ過酷な体験をしたのだということはおぼろげながら感じ取れた。戦争の悲惨さをこういう形で描くことはありだ、とは思った。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)たろ[*] TOMIMORI[*] ピロちゃんきゅ〜[*] sawa:38[*] はっぴぃ・まにあ[*] ナム太郎[*] Ribot[*] ina

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