[コメント] ロスト・イン・トランスレーション(2003/米=日)
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あ、夫婦も同じだと思うがね。
田舎から東京に来て圧倒される経験を持った人は多いと思う。 上京してくると言葉が通じる相手が急に恋しくなる。映画上のホテルの外人バーは田舎から出てきてほっとする同郷会みたいなものだ。そういう所って必要以上に地元を強調した音楽や仲間意識が働いてて地元ではさっぱり話す機会がないような者同士が急に接近したりする。
当然その逆の人もいて都会に合わせようと「ささやかな同郷会」を無視して一気に馴染もうとする人もいる。それでますます孤独になる、行き場が無くなる。無理してカラオケに付き合って盛り上がっている様に見せるのなんか疑似体験っぽくてかなり辛い(笑)
ところでこの映画って今までのアメリカ特有の上から見下ろす偏見まみれの嘲笑パターンとは違うと思うんだな。以前の「日本舞台映画」ってのは都会から田舎に行った時の文化落差をクスクス笑っているような代物or勘違いした異文化万歳映画(寿司!芸者!フジヤーマ!)だった。ところがこの映画はむしろ逆で田舎から都会に行った時の孤独感を上手く表していると言ったほうが適切に感じたのだ。というのは、俺が田舎から上京してきた時にこの映画とそっくりな状況に置かれたからか?なんだか凄く懐かしい感じがした、とでも言えばいいだろうか。
遠くに来ることでもしかして自分って不要?という漫然たる寂しさと不安が強調される。渋谷や新宿は日本人ですら孤独に敏感な人には耐えられない明るさを持っているから無意識な感情が素直に出るのだ。最後のキスシーンで耳元でささやいたのはどういう事を言っていたのだろうか。
二人ともこの後同じ「田舎」に帰るがこういう感情にはならないだろうし向こうにいると気がつかないのだ、こういうのって。
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