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[コメント] 冬冬の夏休み(1984/台湾)

人は生と死の間を生きている。当然のごとく我々の日常には生と死の「芽」が溢れている。人の交わりの度合いが増せば増すほど、その「芽」はいたるところに姿を見せ始める。トントン少年の側を通り過ぎっていった生と死の気配、つまりは我々の日常を見る映画。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







牛の後を追って川で行くえ不明になる少年。スズメの死を悼みつつ、何度も流産を繰り返す知的障害を持つ女。その女に、すんでのところで命を救われるトントン少年の妹。強盗に頭を割られ病院に担ぎ込まれる男。誰からも祝福されることなく結婚式を挙げ、トントン少年の叔父の子を身ごもる奔放な女。そして、瀕死の病から生還する少年の母。

この映画の中に散りばめられた生と死の気配。その気配をトントン少年が、どれほど感じ取ったのかは分からない。仕方がないだろう。まだ、少年はこれから人生の一歩目を踏み出すところなのだから。我々がいつか見た風景と、そして出合ったかもしれない出来事をオブラートに包みながら、ホウ・シャオシエンは生への慈しみと死への畏怖を描いて見せた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)けにろん[*] 寒山拾得[*] [*] ジェリー[*] 3819695[*] ルクレ tredair[*]

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