[コメント] M:i:III(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
もうホントにとにかく忙しいです。オープニング早々、カウント10のブツ切れで観客の尻に収まりの悪さを植え付けたと思ったら、ベルリンの作戦からこっちはもう上へ下へと大騒ぎしながらバチカン、上海を駆け抜ける。しかもカメラを終始手ブレさせてるもんだから、観ている側は画面を追い掛けるのに必死で落ち着かないことこの上ない。もう心が休まるヒマがないです。なので「緩急がなくて疲れる」と言っちゃうこともできるんですが、反面、2時間を飽きることなく集中させてくれるのもそのお陰だったりします。とりあえず面白くは観続けられちゃった。
結局のところ、そんな派手な展開の中でも、襲いくるピンチにそれなりの必然性があるから許せちゃったんだと思います。物語から浮いちゃうような「ピンチのためのピンチ」を無理矢理入れ込むことはしていない。この辺は話がある程度キチンと練り込まれている証拠であり、また監督にそれなりの節度があった証拠なんでしょう。実際テーマ曲のアレンジも今回は随分と抑え目で、かなり原曲に近い感じに仕上げてありました。僕は音楽だけは派手な方が好みなんですが、その品のある姿勢には好感が持てます。
そんな“行き過ぎの無さ”のためでしょう、作品は最終的にかなりオーソドックスなスパイアクションの様相を呈しており、まるでこれがシリーズ第一作目であるかのような印象すら与えます。派手な割に地味。地味なクセに派手。その独特の雰囲気も含めて、大作映画としての及第点は取っているように思いました。
また敵の監禁から抜け出した瞬間に広がる上海の街並は絶景。あそこでそれまでと違う色合いの景色がワッと広がることで、映画に不思議なアクセントが付いています。変装用マスクをその場で作り出す装置を頂点としての、様々な最新鋭スパイグッズも楽しかった。少なくとも上映前に期待していたものは見せてもらえたように思います。
ただ細かいようですが気になったことが一点だけ。黒人のスパイ仲間・ルーサー(ヴィング・レイムス)がデイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の前で「イーサン!」と叫んでしまうシーンはちょっとどうかと思うんですよね。スパイやギャングが敵に本名を知られないようコードネームや偽名で呼び合うっていうのは、もはや「映画における常識」だと思うんですよ。本物のスパイがどうやってるかなんて知らないんだけど。まぁいずれにしてもマスグレイブ(ビリー・クラダップ)から漏れたんだろうから、大勢に影響はないんですが、「プロのスパイ集団」としてはちょっとお粗末な話だなぁと思いました。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (8 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。