[コメント] プレステージ(2006/米=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
で、謎。
疑問 その1 ボーデンとファロンはテスラの機械によって生じたクローンの関係なのか、それとも単なる双子なのか、という点。
ボーデンがアンジャーに「テスラこそトリックそのものだ」とタネ明かしをしたことと、テスラが過去にひとりの依頼者にだけ同様の機械の作成をしたと話したことから、その疑惑が生じてくる。
さらに、アンジャーの瞬間移動を見たファロンはボーデンに「あのマジックのタネはもうどうでもいい、気にするな」と忠告していた。
にもかかわらず、ボーデンはその謎をどうしても知りたくて忠告を無視してそのタネを調べようとして、アンジャー殺害犯に仕立てあげられた。
このことから、ファロンはそのタネが例の機械だと瞬時に理解できたのに対し、クローンとしてこの世に突如誕生したボーデンは自分の出自を知らされていなかったのではないか、と思わされる。
疑問 その2 テスラの機械によって生み出されるのはクローンだが、その場に留まるのがオリジナルなのか、離れた場所に現れるのがオリジナルなのか、記憶の継承はあるのか。
アンジャーがテスラの機械を初めて用いた時、目の前に現れた自分のクローンを予め用意しておいた拳銃で撃ち殺した。この場面では、オリジナルはその場に留まっている方だと考えられる。
だが、実際の新・瞬間移動のイリュージョンでもそれを当てはめると、オリジナルのアンジャーは溺死していることになる。
疑問 その3 ボーデンとファロンはなぜ相互に入れ替わりながら生きなければいけなかったのか。
サラを愛するボーデンと、ファロンとが入れ替わる理由なんかない。 片足を引きずりつつ生きる謎の中国手品師同様、日常生活まで偽る理由はなかったんじゃないか。
大体、2人して左手の指2本なくなってたら余計に気付かれるでしょ、普通。 ファロン役がいつも黒皮手袋してるとはいえ。
まっ、いずれにしても手品のタネは知りたくても知らない方がいいことだけは確かみたいだ。
この映画のラストがSFオチでがっかりしたとの声もよく聞くけれど、僕は確信を持って5点。それがこの映画のマジックなんだよね。
手品のタネがどれ程くだらないか、真実味がないかとか、そんなことはこの2人のマジシャンとノーラン監督にとってはどうでもいいこと。
手品のタネはバレちゃえばつまんないのは現実のマジックでもおなじ。
目の前の「僕たち(映画鑑賞者)を含めた」観客(イリュージョンを見に来た観客)の目を騙せたのならそれでいい。
実際、映画を観終わった後にこんなに延々と作品の話題で友達と盛り上がれるなんて、最近なかったもん。きっといい映画なんだよ。
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