[コメント] クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米)
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こういったイベントムービーはお酒を飲んだあとの勢いで、大人数のグループで観に行かないと乗り切れないかなと思っていました。実際、アメリカのティーンは金曜の夜にそういう形で観ていた観客も多かっただろう。
しかし、観てみたら度肝を抜かれました。ノリで観るというレベルの作品ではなくて、怪獣映画やパニック映画をすごく研究してて、構成も非常に計算された良く出来た作品だったのだ。ほろ酔い状態ではなく、素面の状態で真面目に鑑賞して正解だった。(おそらく、アルコール入った状況だったら、お酒と画面の両方に酔ってしまって映画を観られる状態じゃなくなっていたとも思う…。)
観終わってすごいと感じたのが、実は構成がすごく煮詰められていることを感じさせなかったということ。ハンディカムで撮っていることで、画面の中で起きていること以外に目を向けさせないというメリットが生まれた。構成がよく出来ていることは重要なのだが、それがわかりすぎてしまうと一歩引いてしまう。
この映画の場合、撮影係になる人間へのカメラの移行(好きな子にも話しかけられるぞ、という理由で引き受けた)や、一緒に逃げることになる女性へのパーティでの焦点の当て方(そりゃ好きだから注目するわけだ)など、それを違和感なく行っている。ポイントオブビューが非常に巧みなのだ。
あとはやはり、怪獣映画としての立ち位置だろう。アメリカにて生まれるべくして生まれた怪獣映画なのだと思う。終戦後の日本で初代『ゴジラ』が生まれるべくして生まれたように…。ニューヨークは同時多発テロを経験することで、直接的にテロを題材にした作品でなくても、こういった驚異的な作品が登場してきたのだ。そう考えると、現代の日本だと、そういった背景がない分、新たな怪獣映画が生まれる可能性は低いのかもしれない。
エンドロールでのスコアを聴いていると日本の怪獣映画へオマージュを捧げていることもよくわかるが、怪獣映画としてこの映画で不満な点も1点だけある。それは怪獣の造形…。キングコングの要素もあるし、ゴジラの要素もある。だが、俯瞰して全体像を見せられると、ビジュアル的なインパクトは少し弱い。怪獣が恐いというよりも、あの状況が恐いという結果に落ち着いてしまう。どうせなら、造形はもっと見えなくても良かったのかもしれない。
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