[コメント] 首(2023/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『首』といえば小林桂樹じゃねーのか?というシネスケでしか通用しないネタはさておき、『アウトレイジ』かと思って観に行ったら「風雲たけし城」でした。たけしが周囲の人間にあれこれやらせて、自分は高みで笑っている話。小林薫のコント影武者とか、荒川良々のコント切腹とか、遠藤憲一のコントBLとか。大森南朋と浅野忠信なんかアドリブで振り回されてるしね。
そう考えると、大森南朋と浅野忠信はダンカンとガダルカナル・タカなんですよ。あるいは『隠し砦の三悪人』の千秋実と藤原釜足。そうか、コント影武者とか、黒澤オマージュだったんだ!(<そうか?)。
やっぱり、いま改めて感じるのは、たけしの笑いは「不謹慎を笑う」ってことなんですよ。そういった意味では「赤信号みんなで渡れば恐くない」から変わっていない。
たけし演じる秀吉が自身を「百姓出だから」と言うのが2,3度あるんですよね。でも、本当の秀吉のプライドだったら絶対に言わなかったと思うんです。でも北野武は、わざと出自をネタにして、成り上がった自分自身を秀吉に重ねたんだと思うんです。そしてそれを、もう一世代若い世代、つまり中村獅童の役に受け継ぐんです。ある意味、「若者よもっと成り上がれ」「君たちはどう生きるか」という話なのです(<そうか?)
ただ残念なのは、たけしも年老いたし、もう中村獅童も若者じゃない。役者の起用は適材適所ですが、ちょっと年とりすぎ。10年前、いや20年前に観たかったというのが本音。この映画が「構想30年」だそうですから、遅きに失した感はあるんですよね、ちょっと。
余談
たけしは時折(というか結構な頻度で)「これがホントのニッポン芸能史」的なことをやるんですよ。『座頭市』のタップとか。そう考えると、落語の始祖と言われる曽呂利新左衛門を出した(ある意味核である)のは必然のような気がします。
(2023.12.17 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞)
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