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[コメント] セブン(1995/米)

それぞれの「正義」
ろびんますく

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







犯人は自分の「正義」で7つの大罪を裁いた。

主人公は犯人の「正義」を自分の「正義」で裁いた。

そして、主人公の「正義」は国の「正義」によって裁かれる。

監督フィンチャーは、当初この映画に全くの別のエンディングを用意していた。それは、モーガン・フリーマン演じる老刑事がケビン・スペイシー演じる犯人を撃ち、「I'm retiring.」と言って終わるもの。結局、それはボツになった。理由は、フィンチャーによれば、それが「正しくないから」。

この映画では、犯人も、主人公も、自らの「正義」に基づき行動したわけだが、監督自身も、自らの「正義」をエンディングで貫いたということだろう。監督は、「正義」を振りかざすことの危険性を十分に認識することの重要性とともに、そうであっても「正義」を貫き通すことが必要となる場面がありうることをも示唆しているのかもしれない。

ぼくは、この映画で、愛する者をあまりに悲惨な形で失った主人公が犯人を撃ち殺したとき、「よかった」と思った。それが「正しいこと」だと感じたから。彼が思いとどまったり、犯人が老刑事に殺されていたら、それを「正しくない」と感じたと思う。もちろんそれも自分にとっての「正義」に過ぎないのだが。

(評価:★4)

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