[コメント] 穴(1960/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ラストの「ノーン!オレじゃなーい!」という咄嗟の悲痛な叫びが気になってしょうがない。
もし自分があの若造で事前に確かにチクっていたなら、(罪悪感にかられて)「すまん!」と潔く謝るか「しょーがなかったんだ!」と弁解に走るか、もしくは(心の準備はできてたんだし)だんまりを決め込むかだと思う。
いきなり「オレじゃない!」などと嘘をつける(もしくはそういう言葉を用意してあった)のだとしたら、もう始めからあの若造の勝ちなんじゃないか、そこまでねじ曲がっているような「彼」の本質を見抜けずチームに加えた時点でロランたちの完敗だったんじゃないか、ともうがちたくなる。
もし彼らのことを一瞬でも「仲間」と思ったことがあったのなら、いきなりあの場面で嘘をつくだろうか?配管工たちに対する暴行シーンを思い出し、復讐を恐れそれを忌避したということなのだろうか?
個人的には、どちらかというとあの若造にはそれほどの邪気や計算高さを感じなかったので、彼の「オレじゃない!」は真実の言葉と考えたい。そして、やはり所長がとんでもなく頭のキレル人だった、ということにしておきたい。(ハンストをする囚人への対応など、すでに冒頭から彼の賢さをアピールするような場面がある。)
疑いだしたらどこまでも疑えそうなのだが、とにかく、「真相は藪の中だ」としか(私には)思えない謎なラストだった。そしてそのグルグル考察を呼ぶところも込みで、なんともかんともおもしろい作品だった。
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