[コメント] 恋愛小説家(1997/米)
3人と1匹の関係が少しずつ近づいていく。その様を緻密に、独特のリズムでそして静かに、優しく創り上げた、五感じゃなく直接「心」に伝わる高質のお話です。
監督の手腕に敬意を表したい。
それぞれの俳優の個性を見事に引出しながら、それを押さえ気味に演じさせた巧みな演出には驚きです。顔全体で感情を表現しながらも、それがくどくなく、大袈裟でもない。なかでもヘレン・ハントの表情の豊かさ、心にジーンと染みてくるような演技に、一気にヘレン・ハントファン化してしまった私です。
物語は、常に先を読ませない工夫が施されていて、メルビンの精神的な不安定さそのものが反映されているかのようです。いい意味で流れを変えてしまう一言一言が映画のリズムを形づくり、見ている者の気持ちを少しずつ引き込んでいきます。
素直に良いことをしたいけど、気恥ずかしかったり、さとられたくなかったりする気持ちは、なんだかよくわかります。伝えたい気持ちが上手く言葉で表現できないもどかしさは、私もしょっちゅう味わっていて、自分もメルビン系の人間だなあと感情移入してしまいます。
最後のシーン、フェイドアウトする映像が心に残ります。
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