[コメント] うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984/日)
「お兄ちゃんはね、好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいのさ。…わかんねぇだろうな、お嬢ちゃんも、女だもんなぁ…。」
好きな人はいつまでも側にいて欲しい、好きなことはいつまでも続いて欲しい、そう願うのは自然なこと。でも、楽しい文化祭が永遠に繰り返せば地獄でしかないのは、何故だろう?
人間ってのは天の邪鬼で、好きになればもっと理解したいと欲するのに、理解できれば出来てしまうほど飽きてしまうというパラドックスを抱えている。この映画のあたるにはそれが解っている。だからこそ…
「好きな人を好きなままでいたいから、その人から自由でいたい…。」
秦野さくらさんも書いていた上記の台詞だが、でも、ちょっと、改変してみた。
“好きでいたいのに、それが絶対じゃないことはわかってる。でも、やっぱり好きでいたい。だからこそ、君を理解しない、君を理解しきることから逃げ続ける。”
アニメや漫画に出てくる典型的なヒーロー、ヒロインてのは容姿端麗で能力も無限。だからこそ、べったりでいいのかもしれないけど、彼らに比べたら我々のポテンシャルなんてたかが知れてる。だからこそ、騙し騙し、付かず離れずやるしかない。
もとより完璧に理解し合うことが出来ない不完全な我々は理解し合えないからこそ一緒にいられるのだという逆説、我々を絶対的な孤独に隔離し続けるこの逆説が他者を求め続けるために必要不可欠であるという更なる逆説、これを諸星あたるという媒体を使って表現した押井はもちろん大したものだが、それ以上に、これを一行で表現しきる媒体となりえた諸星あたるというキャラクターのポテンシャルはもっと凄いと思った。
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