[コメント] グラディエーター(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まずマキシマス将軍はほぼ確実に架空の人物です。
五賢帝最後の哲人皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスとその息子コモドゥスは実在の皇帝ですが、映画と違い実際はマルクス・アウレリウス帝は有能な養子を次期皇帝として迎えるという五賢帝時代慣習を破って不出来な我が子コモドゥスを後継者としたのであって、映画のような父親暗殺劇は史実にありません。
また、その後コモドゥス帝はその残忍な性格から剣闘士に暗殺されますが、それはもちろん暗殺のため雇われた剣闘士で暗殺場所もコロシアムではありません。ちなみに、彼は本当に最悪(容姿の方は美男だったそうですが)の皇帝で彼の周りでは常に暗殺計画が絶えなかったそうです。ただし、コモドゥス帝がコロシアムの試合にしばしば参加したというのは史実だそうで、政治をないがしろに殺し合いを楽しむ彼のその行動もまた彼の評判を下げる一因となっていたそうです。
もちろんこういった事は新たな歴史解釈と言えなくもありませんが・・・。
それとラストですが、この映画では「コモドゥス帝が死に、ローマに平和が・・・!」というような空気が漂ってますが、コモドゥス帝の死後もローマはどんどん乱れてます。(笑)そして約200年間続いた「ローマの平和(パックス・ロマーナ)」と呼ばれた安定期が終わり、次に来るのはほとんど帝国滅亡状態の「軍人皇帝時代」です。
皆さんの歴史誤認を避けて頂きたく思い、長々とこんな不確かな知識で解説を繰り広げましたが、冒頭の森で繰り広げられるゲルマンとの戦いやコロシアムでの剣闘士の試合のリアリティーなどは歴史再現としてとても素晴らしいものだと思います。まぁ、私的意見は史実とフィクションを絡めたなかなか面白い作品です。(笑
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