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[コメント] ココニイルコト(2001/日)

「ま、ええんとちゃいますか」程度の映画と思ったら大間違い。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最初に断っておくが、私が電波少年以来の真中瞳好きだから点数が甘いわけではない(彼女のファン度は久米宏には負ける)。 正直、それほど存在感があるとは思わないし、抑えた演技は(自分でやってみれば分かるけど)意外と演じやすい。NHK朝の連ドラ「オードリー」で台頭し今や富田靖子の彼氏らしい堺雅人の関西弁もなんだかなあだったし、長澤雅彦監督も画面の力は乏しく将来性は「?」(でも女優を選ぶセンスはいいようだ)。

しかし、これはいい映画だ。すべてがストーリーにはまっている。

これが、例えば大阪が舞台だからといって井筒和幸なんかが監督したらサービス過剰すぎて「なんやこれ?こないにベタで無茶苦茶な話あるかい!金返さんかいドアホ」級の映画になっていただろう。(『のど自慢』参照)

細部に変化球を織りまぜつつもストーリーは直球勝負。それが映画(特にハリウッド)の「王道」。

例えば、恋に破れた女がいる。映画的決着は新しい恋に出会うか、新しい生き方を見いだすか。 例えば、願いが叶わぬなら何も願い事をしないという女がいる。小さな願いは叶わなくとも、最後は大きな願いが叶うか大きな希望が待っている。

ところが、この映画はそのどちらもない。細部は直球(一歩間違えたらベタ)だがストーリーそのものは変化球だ。その不思議な調和は、「人生は連勝ばかりでも連敗ばかりでもない。良い事もあれば悪い事もある。七転び八起き。それが人生」という監督のメッセージが伝わってくるようだ。「癒し」という言葉は嫌いだが、これはまさに癒されていく女性の映画であり、彼女が最後に得た(映画的)結末が「ココニイルコト」なのだ。

笑って笑って最後にホロリという『のど自慢』はある種従来の日本映画の「王道」だったかもしれない。だが、この映画は日本映画の新しい「王道」的作りなのではないだろうか。

(評価:★4)

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