[コメント] ロード・オブ・ザ・リング(2001/米=ニュージーランド)
映画を見終った人むけのレビューです。
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三部作の一部だから……、原作を知らないから……。 こういうコメントが割と眼につく。
原作を読んでから映画を観ていい思いをした事がなかったので、最近は特に原作は読まず、前知識もなるべく頭に入れないようにしている。故・淀川長治さんの「映画を観る時は頭をからっぽにしなさい」という名言もかたくなに崇拝している。このサイトで未見の映画のコメント集も読まない。当然、「指輪物語」も知らなければ、三部作の一部である事も知らなかったわけだ。
今回はそれが裏目に出たようだ。 どのように?
いろいろ、各コメントの中にも似たような指摘を見つけたが、指輪がどのように凄いのか、主人公の少年がそれを何故引き継ぐ必要があったのか、あの仲間たちはどのように大切なのか、敵はどれぐらい悪い奴なのか、あのお姫様みたいな女性達はどういう立場なのか、つかめない土地感、アイデンティティ希薄な各部族・それらと人間との関係…等、挙げたらきりがないが、それらをセリフや追想シーンで説明してくれてはいたものの、「とってつけたような」説明でしかなく、いかにも「原作読んだあなたなら解るわよね」的な説明にしかなっていない。要するに、ダイジェストだ。初めて体験する私には、頭には伝わるが心には何も伝わってこない。当然、何の思い入れもわかない。感情を煽り立てるような音楽や、壮大なスケール感あふれる長まわしの自然風景描写をしたって無駄だ。
映画って、そういうもんかねえ…
例えば「ゴッドファーザー」。比較するには余りにも名作すぎ、ジャンルの相違もあるかもしれんが、「小説の映画化」「三部作」と言う点では比較の対象になり得ると思う。あの映画を観るにあたって、前知識は必要だったか?……私は、ノーである。マーロン・ブランドーという俳優さえ良く知らず、ただのギャング映画、と言う事しか知らず、阿呆のように夢中で観たものだ。生唾を飲みながら。私の生涯の名作中の一つにさえなっている。そして未だにマリオ・プーゾの原作は読んでいない。
そして、今回オスカー候補。 作品賞にも当たり前のようにノミネートされている。評議員たちは全員、原作を読んでいたのだろうか。読んでなくても「指輪物語」とはそんな一般的な昔話なのだろうか?日本の「かぐや姫」みたいに? とにかく、自分にとって映画の最高峰に位置する「ゴッドファーザー」と、この「ロード・オブ・ザ・リング」が、作品賞というステイタスにおいて同一線上に並べられることが不安でしょうがない。
ほんと、頼むよ、アメリカ人。
ぐだぐだと、愚痴にお付き合いいただき有難うございました。 気分を害された方がもしいらっしゃったら、「この映画の良さを解らぬ可哀想な人」と思って平にご容赦ください。 これに懲りず今後も、「これから観る映画の原作は読まない」というポリシーを貫き通したいと思います。
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