[コメント] 光の旅人 KーPAX(2001/米=独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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病んでいるのが当たり前、と思われる「場」に、一人の異能者が入り込むことによって、当たり前が当たり前でなくなり、物事は前向きに好転する。
これは何もこの作品に限ったことでなく、過去にも幾つかの作品は存在した。 ただ、この作品はその異能者の表現を巧みに曖昧なものにすることによって、多くの人に解釈の自由を与えると同時に、根幹を為すテーマである「人のつながりと自己を癒す力」「人に依存して救われるのではなく、人から救われる力を預かる」「救うという意識ではなく当たり前のように「気付いていないこと」を「気付かせるようにする」」というものを表現している、素晴らしい作品だと思う。
私の個人的な解釈では、プロートは異星人である。色々な理由がある(たとえば、ケビン・スペイシーなどはこの作品をSFとインタビューで称している)が、一番簡単な証明としては、裸一貫で入水した男はエンピツを持っていくことはできないだろう、という点だ。入水した本人が後に故郷を訪れてエンピツを持っていったという解釈も可能ではあるけどね。原作では読んではいないがひょっとして地球人なのかもしれないけど。
つまりは人の身体をホストとして扱う寄生型宇宙人という考え方をすればベスの件も、ひいては「一人しか連れて行けない」という台詞も説明は難しくない。
あれは地球人である、という解釈はまわりの健常者と同じ物で、真実を突かれているのに、過去の常識や固定観念に囚われて納得することができない。ジェフ・ブリッジス演じる分析医は最たるものだ。プライドもある。だから最後まで表向きはプロートは地球人だと思っているが、最後の最後に息子と再会したあたりから、「人とのつながりがもたらす恩恵」という別の物の見方をするようになり、思わず空を見上げてしまった、ともとれる。「本当にプロートみたいなやつがあの宇宙のどこかにはいるのかもしれないなぁ」と思っている、という解釈もアリだけど。
まぁ、この作品の本筋はそういうことは些末なものに過ぎないのだろうけど。
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