[コメント] ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(2002/米=ニュージーランド)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
原作未読の僕が『旅の仲間』に付けた点数は4点でした。壮大な世界観、沢山の登場人物、積み重ねられた歴史、そういったものを順番に提示されていく1作目は、理解はできても心に染み込んではいなかったんです。当然それでも充分に面白くはあったんですけどね。
あれから1年。僕の中にはゆっくりゆっくりと、僕なりの中つ国が形成されていったようです。さまざまな予備知識が入り、登場人物たちも同じ時間をかけてゆっくりと息づき始め、気付けば1年間旅を共にしてきた仲間のような気がし始めました。そう、僕の中で、1年をかけて中つ国が「熟成されて」「生きて」きたんです。連続で観ればいいわけじゃないこともあるんですね。年1本の公開スケジュールに感謝。
そして前作を観終わった時と全く違う心境で迎える今作のスタート。その違いが的外れな期待感であることを心配もしたのですが、「実際に」踏み込んでいく中つ国はその期待を全く損なわないものでした。
僕の感情移入の度合いを差し引いても、仲間たちは前作以上に一人ひとり生き生きと動いています。僕の心の中で生き始めた彼らが、全く同じようにスクリーン上で生きています。トリロジーの中編であるというデメリットも、その躍動感に対しては全くの無力です。本当に生きている者たちに中編もへったくれもないんです。もちろん1本の映画として充分すぎるクライマックスが用意されたいたことも大きいですよね。
ここほどまで感情移入させられた仲間たちの、死を覚悟した壮大な闘い。僕はあまりの格好良さに泣きました。橋の上で2人だけで敵を押し戻すアラゴルンとギムリ。スケートボードのように階段を滑りながら敵を射抜くレゴラス。そして大軍を率いて坂を駆けおりるガンダルフ。もう鳥肌と涙の大合唱。人間はビックリすると泣くんです。それは蛇の舌グリマが左目から流した涙と同じようにね。
僕の中で最後の戦いを迎える準備はもう整いました。また1年、心の中で旅を続けながらゆっくりと待つことにします。楽しみだなぁ。
最後に一つだけ。復活したのは喜ばしいんだけど、ガンダルフは自慢気によく語る。「火と水と死を乗り越え〜」って、「ワシらの若い頃は〜」とか「今の若いもんは〜」みたい。僕があそこにいたら「これだから年寄りは」って思ったに違いない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (10 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。