[コメント] ターミネーター3(2003/米)
正直言うとこの作品は良くできている。最近のワイヤーアクションとCG全盛のアクション映画の中で久々に骨太の直線的な作品だった。もちろんCGは使われている。しかしそれはアクション全般ではなく、映像的な補足てしてだ。クレーン車のカーチェイスは素晴らしい迫力だったしアイディアにあふれている。銃撃戦も避けるのではなく直立不動に撃つ撃つ撃つ!薬莢が飛び散り銃から火花が出て爆発もすごい。「ターミネータ」シリーズの金属的な重い、直線的なイメージをちゃんと継承している。
それと、ユーモアがいっぱいありそれが楽しい。ターミネーターがお約束の服を探すシーン、サングラスのこだわり、車の鍵の場所、女ターミネーターのおっぱいを膨らませるところ、鏡を見るしぐさ、映画のいたる所にアイディアとユーモアがあふれていて楽しく映画を作っている感じがする。今までのシリーズへのオマージュだろう。
このシリーズのテーマは「ターミネータ2」のとき思った「運命」だと思う。
決められた運命から人間は逃げられない、しかし決められても懸命に生きていかなければいけない。「ターミネータ2」のときはサラ・コナーがターミネータと遊ぶ息子を見ながらナイフで机に書く。美しい夕焼けの草原のなかそのサラ・コナーの決意が「運命」を感じさせた。今回ではなにげないシーンだがバスの中で主人公と女性が昔の話をしていてターミネータが運転をしている。ターミネータは背中しか見えず、前方には一直線の砂漠の道が続いている。この映像こそがこの映画のテーマを物語っていると思う。主人公はターミネータにつれられて何もない砂漠の一直線の道、いいかえれば決められた人生(運命)を進む。ゆっくりと真直ぐに。もう逃げられない。
話は戻るが映画のファーストシーンで主人公が夜道をバイクで走っている。真っ暗でカーブがあり前もあまり見えない。まるで何かから逃げているようにすごいスピードで走っている。この曲がりくねった暗い夜道も彼の今までの人生をあらわしていると考えると面白い。「道」でこの映画のテーマを表現する。
このシリーズは面白いSFアクションだがただそれだけではない。
「運命」は受け入れなければ運命に翻弄されてしまう。 「運命」を受け入れれば運命を自分のものに出来る。
ターミネーターはそれを伝えに未来から来たのだろう。
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