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[コメント] インビジブル(2000/米)

見えすぎちゃって困るポール・バーホーベン
crossage

これほどまでに、映画本編よりもメイキングのほうが気になった作品は他にない。つまり、それだけお話じたいがどうでもいい内容だったということ。そしてより重要なのは、おそらく監督ポール・バーホーベン自身もその認識を共有しているように見えることだ。「透明人間になったら人はどうするか? そんなん女子トイレのぞくに決まってんだろ! 終了!」この見切りっぷりはスゴイ。

一般に透明人間モノといえば、「見えないもの」がもたらす恐怖を表現する、サスペンスのジャンルのひとつと考えるのがふつう。しかしバーホーベンはそんな既成のジャンルにはハナから興味なさげである。ケビン・ベーコンが透明化した後、お話の後半はドタバタ&グチャグチャのバイオレンス物になってるし。そうではなくて、「透明人間」という主題をダシに、いっそ「見えないもの」をいかに可視的に表現するか、彼の情熱はその一点にのみ賭けられている。

何もないところで歪むオパーイ、血だまりにできる足跡、血管じゅうを循環する血清、石膏マスクの目の穴の空洞、水中アクロバット……etc. これら全ての映像化を可能にするCG技術。そして何よりも、「透明人間」という設定を隠れミノに、まんまと映倫を通過してしまったチ●コ映像! チ●コだって、こと映画にあってはある意味「見えない」ものですからね! その、「タブーであるチ●コをいかに自然に見せるか」に賭けた露出狂的情熱には、すなおに敬意を表したい。そしてそんなアホな情熱にイヤな顔ひとつせず(むしろ嬉しそうに?)付き合ってやったケビン・ベーコンにも……。

※ちなみにこの映画の原題は"Hollow Man"で、「インビジブル」ってのは意訳された邦題。さらに、定冠詞をつけて頭文字を大文字にした"The Invisible"は、"God"とほぼ同義。

(評価:★4)

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