[コメント] 孤狼の血(2018/日)
露骨な「仁義なき戦い」のオマージュであるし、今風に言えばリブートなのだが、本家よりも確実に観易い。過多な台詞で引っ張る物語はぶっちゃけラノベ的で、極道達がスカスカのアホに見えるも、役所広司の凄みと、正義の不在、混沌をしっかりと見据えた演出は見事。エログロ度はいつもの増し増しで快調。車、看板、ジッポ、自販機、黒電話など数え切れない細部に宿る昭和末期の場末感がたまらない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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しかし、これは一種のハードボイルドでもあるにもかかわらず、
主人公、役所広司のあれほどまでの惨い死体を見せ付ける必要性を、
確かに感じるわけで、あれを境に、松坂桃李へ血が継承される、その納得度が違ってくる。
下品極まりない台詞群の湿度と、人体破壊趣味の粘着度の合成が、
きれいごとの薄皮を無遠慮に剥がしていく。
映画にもセクハラ罪という罪はないのである。
びっくり、どっきり、クリトリス。
この言葉の響きと、小便器に打ち捨てられた石橋蓮司の生首の無常観が本気だし、
なんでもかんでもコンプライアンスに縛られた息詰まるSNS生活への突破口だとさえ錯覚し得るし、
なんでもありの昭和という時代へのやけくそな懐古なのだとも。
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