[コメント] 捜索者(1956/米)
ビスタサイズで撮られた映画の最高作、と言ったのはマーティン・スコセッシだが、私が見た西部劇の最高作はこれ。映画史上の真の最高傑作、と言われても不思議ではない映画的興奮度満点の「画面と音」の映画。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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とにかく、演出技術であらゆる感情を画面に定着させる事が可能だった映画史上ただ一人(ちょっと言い過ぎ)の監督による究極の画面を堪能することができる。イーサン・エドワーズ(ジョン・ウェイン)の情動によってこの映画に表出している怒りと悲しみと誇りと、そして落伍者としての寂寥の凄み。
私が最も好きなのは前半部分、デビー(ナタリー・ウッド)捜索の長い旅に出る前の追跡シーン。イーサンが、埋葬されたインディアンの死体、その両目を拳銃で打ち抜くシーンがあるのだが、私は恥ずかしながら何度見てもこのシーンで必ず目が潤んでしまう。それは決して倫理的な感情で心を揺すぶられているわけではない。純粋に映画というメディアで、ここまで徹底したキャラクターを、俳優の所作と撮影(繊細な照明や完璧なフレーミング!)と、こだまする銃声音の音響効果で造型したことに心を揺すぶられているのだ。
『捜索者』は最高の「画面」を持った映画です。このような美しい細部を上げていくとキリがない。
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