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[コメント] パターソン(2016/米)

なんて幸福な映画だろう。例えば、パターソン−アダム・ドライヴァーの詩作とその朗読の画面で、妻ローラ−ゴルシフテ・ファラハニが、ディゾルブでいちいち映る演出に感動する。こんなに愛情が画面から溢れてくる映画は他に思いつかない。
ゑぎ

 最初の月曜日の朝、ローラは、双子の子供ができた夢を見た、と言う。以降、双子が何組も登場するのだが、何の説明もされないし、車庫の近くの工場前で出会う詩人の少女(「Water fall....」の詩を披露する)にしても、双子であること自体は全くプロットに絡まない(パターソンもちょっと驚くだけで、大きなリアクションをしない)というところがいい。或いは、前半で、ドッグ・ジャックが、あれだけ印象的に忠告されるのだから、普通なら、愛犬マーヴィンが盗まれる等あると思うのだが、一顧だにされないのだ。ただ、観客は夜の散歩で、バーの前にマーヴィンが繋がれる度に、誰かに持って行かれないか、心配になる。いい意味で観客に緊張感を与える効果に繋がっているのだ。このあたりも、ジャームッシュらしい。

 上でこんなに愛情が溢れている映画はない、と書いたが、それは、云い換えると、こんなに、このメディアを愛している監督は他にいないのではないか、と思えるということだ。何よりもアダム・ドライヴァーとゴルシフテ・ファラハニのキャラクタリゼーションでそれを感じる。

#下は備忘

 映画の話から離れてしまうが(というような前置きも濫発しており白々しくなってきた気もするが)、アダム・ドライヴァーは退役軍人であり、妻のローラは中東系女性なので、このカップルの設定は、トランプ大統領の時代では、風刺的な意味で面白みがあるだろう、というようなことをジャームッシュが言っている(ユリイカ特集号)。確かに、パターソンの軍服姿の写真が小さく映るカットがある。或いは、バーで拳銃を取り出した友人エヴェレットを取り押さえるシーンは、パターソンの軍隊経験の示唆にもなっているのだろう。

(評価:★5)

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