★3 | 最後の決闘裁判(2021/米) | 潔白を賭した女の意地と奸謀に報いる男の矜持。2点に収斂するスパークするドラマトゥルギーの形成に羅生門叙法は些かも貢献していない。シンプルでも良かった。リアル古城などのロケーション美。正反タイプの役を捻じ伏せた男優陣の力量。ともに素晴らしい。 | [投票(1)] |
★3 | オデッセイ(2015/米) | 総花的に過ぎる。地球を全カットしてジャガイモの栽培にでもセミドキュメンタルに尺を費やせば、もうちっとマシなもんになったかもしれない。定められた結末から逆算構築されたかのようなマニュアル臭。丸判り痩せダブルにデイモンの本気度も問われる。 | [投票(3)] |
★4 | アメリカン・ギャングスター(2007/米) | パラノイアなカリスマが出てこない等身大の『アンタッチャブル』。人より僅かに慎重なギャングと僅かに潔癖な警官の物語だが、最高級の役者と匠の域に達した演出で熟成バーボンのような味わい。終盤2人が初めて相対するシーンは至高の顔演技の切り返し。 | [投票(2)] |
★4 | グラディエーター(2000/米) | 序盤のゲルマン攻略は圧倒的であり掴みとしては最高。『ベン・ハー』『スパルタカス』を継接ぎしたかの如き展開もまあ許せる。ただ、主人公の流転人生を描くに必要な時間が足りず無駄が無さ過ぎ。個の対決に収斂する前の奴隷時代にもう1シークェンス欲しい。 | [投票(3)] |
★3 | プロメテウス(2012/米) | スコット初デジタルのロングショットの精緻には随所で息を飲むがそれだけだ。ハードSF的な大風呂敷がある1点に向かって急速に綺麗に収束するのだが物語は閉じてしまった。こんな過去遺産への執着を晒してるようでは最早何も新しいものは産み出せまい。 | [投票(2)] |
★5 | セブン(1995/米) | 猟奇な刺激やアクションのキレも図抜けているが、曇り空に雨がしとつく特定されぬ都市の構築が付与する寓意性が、シリアルキラーを単なる事象から神話的な領域へ昇華させる。又、反転の白昼荒野で行きつく帰結はギリシャ悲劇の現代での高度な復古にも思える。 | [投票(3)] |
★3 | キングダム・オブ・ヘブン(2005/米) | オーランド・ブルームに誰もが夢見て成し遂げ得ない恒久平和を達成できるカリスマが微塵も感じられないので萎えまくる。万座を圧するべきクライマックスのアジテーションは台詞読んでるだけ。スコット演出はときに細密だが自己模倣の域を出ていない。 | [投票(3)] |
★3 | ゲティ家の身代金(2017/米) | 何を骨子に描くか定め切れてないので生半可。祖父は何故に払わないのかと、母は如何にして払わせたのかはどっちも拍子抜けレベル。折角クレジットトップならミシェルおっ母さんの獅子奮迅記にでもすれば背骨も通ったろう。無駄骨ウォルバーグも寂寥。 | [投票] |
★4 | ワールド・オブ・ライズ(2008/米) | 現代版『ロレンス』とも言うべきイスラムへの越境感。これがハリウッドから出現したことへの希望。トニーと近似化しゆくリドリーへ一抹の危惧を感じつつも縦横無尽に闊達な演出に魅せられまくる。3者の腹芸合戦も冴え渡るが特にクロウが凄い。 | [投票(1)] |
★3 | ロビン・フッド(2010/米=英) | 圧政王VS義賊という対立構図が確立する前の混沌の前史だとしても、最大クライマックスの対仏攻防戦でその確執のピックアップが弱すぎなのでピンボケ感が甚だしい。自己模倣に流れるスコット演出はウンザリだが他人のもの真似に至ってはゲンナリ。 | [投票(2)] |
★3 | ブラックホーク・ダウン(2001/米) | 他国の内戦に介入する是非はともかく失敗に終わった作戦へのポリティカルな視座も決定的に欠如し唯ひたすらに仲間の救出という同志愛だけを高らかに謳い上げても仕方ない。ソマリア内戦に於ける死者は数十万人に及ぶのだ。国連軍のそれは100人に満たない。 | [投票(3)] |
★4 | パニック・ルーム(2002/米) | 『北北西』的タイトルも『フレンジー』的長廻しも今風なヒッチ風味で愉しく、ウィティカーの男気に50年代アメリカンノワールの匂いを嗅ぐ。「パニックルーム」という如何にもな設定は後方に追われオーソドックスの安定感が好ましいスリラーの佳作。 | [投票(1)] |