★2 | 害虫(2002/日) | 30年前の手法から主義と主張をきれいさっぱり抜きとって、何かを語ろうとしても抜け殻しか残らない。いや塩田明彦にとってはこれで良いのかも知れない。彼の興味は今という時代ではなく少女そのものにあるのだろうから。悪くは無いが、面白くは無い。 | [投票(1)] |
★4 | 春画先生(2023/日) | 予備知識ゼロで観たので亡霊のように谷崎や乱歩が現れたのにはびっくり。ただし令和の秘事は男女の立ち位置が曖昧で、昭和では定番だった隠微な「のめり込み感」はなく、どこかドライな「平等感」を感じた。今の時代、良くも悪くもエロスもまたジェンダーフリー。 [review] | [投票(1)] |
★2 | カナリア(2004/日) | 塩田明彦がカルト教団の存在に何の関心もないことは明白なのだから、その描き方を批判する気はない。光一(石田法嗣)と由希(谷村美月)を、自分は火の粉のかからぬ対岸から眺めるような狡さに作者自身が気づいていないとことの方が問題だ。 [review] | [投票(2)] |
★3 | 麻希のいる世界(2022/日) | 本来「家庭」と「社会」は地続きなのだが、その中間点で停滞しているのが由希(新谷ゆづみ)なら、暴れまわっているのが麻希(日高麻鈴)だ。疎外感を核にした共闘はことのほか強固で、二人が作る負の磁場は"外側"にある「家庭」も「社会」も無化してしまう。 [review] | [投票] |
★3 | どろろ(2007/日) | 妻夫木百鬼丸には、血肉を持たず復讐の化身と化した者が放つ負の壮絶さは皆無だが、蒼白美顔が醸し出す虚無があった。柴崎どろろには、戦場の孤児の諦観に裏打ちされたアナーキーさは求められないものの、女が男を演じる健気さがその生き様に上手くダブっていた。 [review] | [投票(4)] |
★4 | さよならくちびる(2019/日) | 解散へ向かって時間とステージが消化されていくなか、必要最小限の描写と台詞で綴られていく3人の心情の“うねり”が切なくもスリリング。楽曲の力を信頼し物語の「核心」を門脇と小松の唄に託し、感傷的にならず淡々と反復される演奏シーンの潔さも素晴らしい。 [review] | [投票(4)] |
★4 | どこまでもいこう(1999/日) | 博物館の展示物のような戦車のプラモデルより、手作りの爆竹飛行機や花火銃をカッコ良いと思うこと。近づくことの出来ない少女や、離れて行く友を前にどうすることも出来ない自分を知ること。それは何時の時代においても、子供が子供であることの証しなのだ。 [review] | [投票(2)] |
★2 | 月光の囁き(1999/日) | 面白いテーマだと思うが、あまりにも物語が形式的。異常性愛という名の愛がもつ衝動の激しさや痛みが定型どおりで映画としての魅力が足りない。出来の悪いロマンポルノをさらに薄めたみたいだ。高校生だからソフトに、と逃げた訳でもあるまい。もったいない。 | [投票] |
★4 | 風に濡れた女(2016/日) | 欲動を封印した男と、性欲を解放した女が衝突し格闘することで、理性によって封印された物語を、理屈ではなく肉体で復活させる試み。神代辰己の傑作『恋人たちは濡れた』へのオマージュたっぷりに、ロマンポルノの意味と復興の意義を軽やかに示した快作。
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