早川保の映画ファンのコメント
寒山拾得のコメント |
女のみづうみ(1966/日) | 古代の和歌に意味なんてものはないと折口信夫が説いたのを思い出す。作者はできればストーリーなどなしに映像だけ撮りたかったのだろう。前半の追跡と逃避は見事なサスペンスだが、後半はよろめき婦人以外意味不明。 | [投票] | |
はだしの花嫁(1962/日) | 瀬戸内海往来の関西汽船の観光映画。海と空の青がとても美しい。青の番匠と呼ばれたらしい。海見下ろして唄う倍賞をもっと観たかった。別府の山猿のボス争いは寅さんでも観たような。環三千世がキュートな役で嬉しい。 [review] | [投票] | |
暗殺(1964/日) | どうでもいい司馬史観によるどうでもいい清河八郎という人物の『用心棒』がグネグネ語られるばかりで話は実に退屈。見処はもっぱらキャメラの愉しさ。 [review] | [投票] | |
にっぽんぱらだいす(1964/日) | 香山美子は『赤線地帯』の川上康子に違いない。とすればミゾグチの遺作を引き継ぐ処女作という大胆な構想を成功させて余りある傑作。感動的なのは喜劇というジャンルの懐の深さを認識させてくれることだ。 [review] | [投票(2)] | |
雪国(1965/日) | やがて哀しき芸者遊びのどこが名作か不明だが、映画は幾つも見所がある。加賀まりこの葉子の性格付けが明快なこと、雪国の青空が眩しいこと、木村功が川端康成にそっくりなことなど。 | [投票] | |
下町の太陽(1963/日) | 倍賞千恵子と待田京介のピンポンを延々と切り返しで撮る件など山田洋次らしからぬ斬新なアクション。初期にはこんな可能性もあったのだ、なぜ切り捨てたのだろう。 [review] | [投票(1)] | |
山河あり(1962/日) | ともかく音楽が酷い。観客の感性を全く信用していないらしく、物語の補足に汲々として煩いといったらありゃしない。最悪である。冒頭のサトウキビ畑はじめ前半の日系ハワイ移民の描写は興味深く、後半はやり過ぎだが凸ちゃんのダンスの哀れさは怒気迫る。 | [投票] | |
嵐を呼ぶ十八人(1963/日) | いつものアンチロマンな作劇が、まるで嵐を呼ばない日雇いと労組の軋轢という主題に絶妙にハマっている。マーチングバンドの件は、人間を人間以外に解体するを旨とする吉田喜重にして例外的に優しい描写。さすがに十八人が不憫だったのだろう。 | [投票] | |
あねといもうと(1965/日) | 佐多稲子のような左翼作家にとって困難な時代だったのだろうか。貧困とは家族で解決すべきこととなり、社会で解決しようという視点は消滅している。中村晃子が厭な役で気の毒。 [review] | [投票] |