★4 | アンダーグラウンド(1995/独=仏=ハンガリー) | 常識や倫理を微妙に逆なでし続ける圧倒的エネルギーと狂騒に為す術無く流されるのだが、それが国家が解体される混沌の民族史観と重なる酩酊。祖国と家族という2面的な喪失の哀感は太いシュールと熱いユーモアで上塗りされる。巨視感漂う民族史的大河ドラマ。 | [投票(4)] |
★4 | タイタニック(1997/米) | ハイ&ローの呉越同舟をヴィスコンティ級の重厚さで描くことができれば密閉空間の悲喜交々も荘厳なものにもなったろうがハーレクイーンにライト。そして、訪れる悲劇もテーマパークのアトラクションのように期待値の最大公約数を増幅する。大したものだ。 | [投票] |
★4 | 地獄の黙示録(1979/米) | 地獄巡りの主人公が見聞する、恐怖がドラッグを蔓延させ抑圧された性欲が暴力衝動を喚起し意義喪失が殺戮の意味を見失わせる様は圧倒的画力を持つ。しかし、狂言回しが、何時しか侵食され変容するという形而上的な物語を語り尽くせたとは思えない。 | [投票(1)] |
★3 | 模倣犯(2002/日) | 市井の人々に限りない思いを寄せる宮部に対し時代の先鋭をどうしても持ち込みたい森田の思惑の結果が山崎の部分が映え中居の部分が舌足らずというのでは原作にねじ伏せられた形だと思う。犯人側の描写が薄すぎ。 | [投票(3)] |
★4 | アンブレイカブル(2000/米) | 『シックス・センス』同様の孤独な魂の対峙と相克。超絶美技だった前作を完全に裏切るズッコケ展開なのだが、無駄にパワーアップした冒頭シークェンスを筆頭に何でもかんでも痛ましいまでの哀しみに満ち溢れさせている。怖いもんなしのこの強引さは好みだ。 | [投票(2)] |
★3 | 悪霊喰(2003/米=独) | ヘルゲランドは『ペイバック』『ROCK YOU!』と見る限りフランケンハイマーの再来とさえ思っていたのに、絶倫爺イーストウッドと2本組んで精も根も吸い取られたのだろう。出し殻みたいなダブルフォーカスの縦構図が侘びし過ぎる。 | [投票(1)] |
★2 | ローラーボール(2002/日=独=米) | 70年代であるならば未だしも意味を持ちえた「反権力」を21世紀の映画に於いて何の工夫も無くトレースする錯誤感と肝心の「ローラーボール」のゲームがチマチマして局所的な描写に終始するのが救われない。 | [投票(1)] |
★3 | ファイナルファンタジー(2001/日=米) | リアルをトレースしただけのCGとしても見入ってしまうこの技術とかけたであろう金と人力は認めるが、借り物ばかりのキャラや設定が所詮ゲームメイカーの馬脚を現す。オリジナルな創造意欲が物語を起動する瞬間が皆無で世界に向けて発信するには恥ずかしい。 | [投票] |
★4 | ハウルの動く城(2004/日) | ハウルが何故に孤軍奮闘我が身を賭して闘うのか解らないのに出自等はけっこう描かれ、その辺が論理的世界観の構築から逃げムーディに媚びてるようにも感じたが、細密画の如き「動く城」が動く様には矢張り興奮せずにはおれなかった。 | [投票(2)] |
★4 | いつか来た道(1998/伊) | 一方的な愛や思い入れは疎ましい。他人同士であれば断ち切ることが可能であっても血肉を分けた兄弟となれば簡単ではない。しかし、兄の気持ちもわかる。こういう弟がいたら腹も立つだろう。イタリアンな濃い兄弟愛の話。時代色を浮き上がらせる美術が圧倒的。 | [投票] |