★4 | キャスト・アウェイ(2000/米) | この映画には本当にびっくりした。いわゆるロビンソン・クルーソーものがまともな映画になるはずがないと高を括っていたからだ。無人島に役者が一人いるだけでは映画の魅力の一つである会話劇や視線劇を成り立たせることができないため退屈で平凡な描写に留まると踏んでいたのに前述の問題点をあっさりと解決してしまっているのだから全く大したものだ。 [review] | [投票(2)] |
★3 | 白鯨との闘い(2016/米) | 悪い映画じゃない。船という狭い空間を舞台にしていること、そして3Dを意識したためかカメラに被写体が寄ったクローズアップが多すぎるところはもちろん批判されてしかるべき点だとは思う。しかし少なくとも内面・心理ではなく外面・行動を優先して撮ろうとしている。回想形式は映画を停滞させるどころか撮っても映像映えしない場面の省略に一役買っている。 [review] | [投票] |
★3 | パール・ハーバー(2001/米) | かなりいい、マイケル・ベイの最高傑作かもしれない。真珠湾攻撃シーン以降は気持ちのいいほど失速し、やはりこの監督に3時間持たせられるほどの力量はないと実感してしまうわけだが(そもそもこの真珠湾攻撃シーン自体がやたらと長い)。人物の心理描写が薄いのはむしろ美徳である。そんなものを執拗に描かれたなら今よりずっとグロテスクな映画になったに違いない。 [review] | [投票] |
★1 | GAMBA ガンバと仲間たち(2015/日) | 白組には山崎貴以外にまともな演出家はいないのかと暗澹たる気持ちになる。出崎統版と比べるまでもない、冒険活劇を志向しているはずなのにアクション演出が『STAND BY ME ドラえもん』以下とは悪い冗談もいいところだ。20億かけてこんな動きしか作れないとは。気合いを込めているはずのキャラクターの語りも何ら心に響かない。すべてが空虚である。 [review] | [投票] |
★4 | クロスファイア(2000/日) | この映画の金子修介の演出は『ガメラ』三部作の時よりずっといいじゃないか。『ガメラ』シリーズでは脚本家や特撮監督との兼ね合いもあって我慢していたのだろうか。説明的な台詞が始まってもそれをさっと動きへ転換しているから画面が常に躍動している。あらゆる動きあらゆる音が魅力的だ。ナイトシーンの照明もうまくいっている。アクション映画としてすこぶる面白い。 | [投票] |
★3 | 冒険者カミカゼ(1981/日) | 馬鹿の一つ覚えのように多用されるズーミングや湿っぽい物語と音楽にうんざりするが、ラストの軍艦島のアクションシーンはちゃんと空間を生かした造形がなされており出色の出来だと思う。吹き替えなしの危険なスタントに爆発も大盤振る舞いで大変よろしい。この場面だけでも一見の価値はある、ここ以外はてんで駄目だが。 | [投票(1)] |
★2 | ブリッジ・オブ・スパイ(2015/米) | 信念を持ち逆境に立ち向かう不屈の男の物語。それにしてはこの映画のトム・ハンクスは孤立感が薄い。反権力のようでいて権力に寄りかかりすぎている。また交渉と対話の映画である以上仕方ないとはいえ、この映画には基本的に話せばわかりあえる人間しか出てこない。対話不可能な恐怖は描かれていない。これではサスペンスも盛り上がりようがない。 [review] | [投票(5)] |
★3 | 月下の恋(1995/英) | 確かに映像は美しい、格調高いとも言える。しかしただ美しいだけだ。炎も煙も風もただ画面を美しく彩るものとしてしか機能していない。恋愛にしろ亡霊にしろそれに向き合う際の恐怖や緊張をちゃんと描けなければ映画はただの美しい絵はがきになってしまう。 | [投票(1)] |
★2 | ガールズ&パンツァー 劇場版(2015/日) | 部外者扱いも癪なのでTV&OVA版も見てみたが、愚鈍な劇場版が嘘のようによくできていた。TV&OVA版で効果的だったローアングル、主観長回し、画面分割を自粛する理由がわからない。地形のレパートリーも少なく、戦車の操作過程は省かれメカニックの魅力に欠ける。一番の不満点は戦闘の激しさのためか搭乗者は戦車内に閉じ込もり観客は画面外に押しやられ、戦車とキャラクターが外で絡む演技がほとんど見られないところだ。 | [投票] |
★3 | ラスト・ナイツ(2015/米) | 終盤の殴り込みやその作戦準備の過程などはさまざまなアイデアを盛り込んでいて結構よくできているのだが、人物の苦悩やら大義やらを辛気臭い顔で語り続けるドラマ部分が長すぎて正直退屈してしまう。これを解決するために一人ぐらいはコメディリリーフ的人物がほしいものだ。まあしかし、アメリカで映画を撮ろうがちゃんと紀里谷和明らしい個性が残っているのは立派とも言える。 | [投票] |
★4 | スター・ウォーズ フォースの覚醒(2015/米) | シリーズ最高傑作だと思う。シリーズ故の制約かローレンス・カスダンの脚本のおかげなのか、同監督の『スター・トレック』とは違い、1カットが程よく長く奥行きがあり、煙が立ちこみ光がきらめく落ち着いた画面が作られている。136分という長さや回想シーンもあるため多少だれるところはあるものの、人物が行動し続けるため映画が停滞することはない。ことあるごとに被写体にカメラをぐっと寄せるのは好きになれないが。 [review] | [投票(3)] |
★4 | キリング・フィールド(1984/英=米) | 「怪獣映画は戦争映画の変形である」といわれて久しいが、それならば逆に戦争映画の中に怪獣映画の魅力を発見することも可能であるはずだ。戦場を駆け回るジャーナリスト、破壊し尽された街、飛び交うヘリコプター、溢れ返る避難民、血まみれの病院……この映画(特に前半)には怪獣映画に求められる画を多く見いだせる。私にとって本作は最高の怪獣映画の一つだ。 [review] | [投票] |
★3 | 劇場版 MOZU(2015/日) | 『ワイルド7』を評価したことは間違いではなかったようだ。大迫力のフィリピンロケ、やたら凝った照明、画面に横溢する風・煙・水・火花、そして何よりロングショット・ロングテイクで撮られた銃撃戦・カーチェイス・格闘の数々が日本映画史上に残る完成度であることは疑いようがない。しかし脚本の幼稚さ、あるいは監督の根本的な映画的感性の乏しさが原因なのか、素直に傑作と呼ぶことにはためらいを感じる。 [review] | [投票] |
★4 | カリフォルニア・ダウン(2015/米) | ギャレス・エドワーズ『ゴジラ』に真っ向から喧嘩を売るサンフランシスコ大破壊映画。前作『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』で50〜60年代あたりのSF映画を最新技術で鮮やかに蘇らせただけあってこの監督はかなりの特撮好きと見た。是非とも一度ハリウッド版ゴジラを演出してみせてほしいものだ。 [review] | [投票] |
★2 | 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2015/日) | 人物が描けていないなどとという批判を今更するつもりもないが、特撮シーンの作りがここまで下手糞になっていたという事実にはただ唖然とする他ない。まるで巨大に見えない巨人にこけおどしのホラー・スプラッター描写。セックス中のカップルが襲われる場面を見た時これは東宝特撮映画ではなく80年代スラッシャー映画の劣化コピーであることを確信した。 | [投票] |
★4 | ガッチャマン(2013/日) | 中盤綾野剛と初音映莉子の会話場面において初音映莉子が画面の左の方からフレームアウトした後そのままカットを割らずに1カットで画面の右からフレームインする。まるで阪本順治『座頭市 THE LAST』終盤の殺陣のようである。これがうまい演出かどうかは議論の余地があろうが少なくとも何も考えずに撮っている人間がこのような演出を試みるとは思えない。 [review] | [投票] |
★3 | ミステリー・ストリート(1950/米) | 結局のところこの映画の素晴らしい瞬間は撮影のジョン・オルトンによるものが大きく、ジョン・スタージェスの演出に見るべきところはほとんどない。ラストの操車場での追跡劇なんかは腕の見せ所だと思うのだがどうしようもなく平凡な出来である。 | [投票] |
★3 | デビルマン(2004/日) | 悪くないどころか積極的に擁護したくなる場面すらある。『ビー・バップ・ハイスクール』の那須博之だけあって学校のシークエンスは皆良く出来てるし、佐野哲郎の撮影は掛け値なしに素晴らしくロケーションも的確である。主演二人は演技力こそ壊滅的だがクローズアップに耐えうる顔を持っており、だからこそ紛れもない映画の画面を作れている。脚本をどうにかすれば傑作になるポテンシャルを持った作品だったと本気で思う。 | [投票] |
★2 | 日本のいちばん長い日(2015/日) | いつもの原田眞人といえばそれまでだが、とにかく画面の繋ぎ方が雑で話が盛り上がって来たと思ったらその高揚を断ち切るかのように場面が切り替わってしまう。まるで本来3時間以上ある映画をダイジェストで見せられているかのような気分である。1967年版より中心となる人物を絞り物語の背景を丁寧に描くことで話が余計難解になるような脚本を書けるのはむしろ才能といえよう。今後も精進すると良い。 | [投票(2)] |
★2 | ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015/米) | 予告編でも見られる飛行機スタントは後から合成したと言われても納得できるようなアングルから撮られており労多くして功少なしの感がある。このシーン以外でもアクションの撮り方は大いに疑問を感じる場面が多く、特に階段上を走るカーチェイスなどはよくここまでつまらなく撮れるものだと感心した。『ゴジラ対メガロ』以下ではないか。三すくみの狙撃やバイクチェイスあたりは悪くないのだが。 | [投票] |