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ジェリーさんのコメント: 投票数順

★3白い肌の異常な夜(1971/米)ヒーローが不在で、登場人物全てが小者という意味で画期的なハリウッド映画。こうした設定やプロットが、戦争という特殊状況によるだけでなく人間本性に基づいているという洞察も深く、かつニューロイックなおかしみを醸す余裕。ぬめりとした画面の質感が主題にあう。[投票(1)]
★3サムソンとデリラ(1949/米)旧約聖書に語られた英雄伝説を立派な見世物に仕上げたデミルの力業に感服。現代人には分かりづらい人物像を演劇の演出ではなく映画の演出をつけて、血肉化させることに成功した。粗忽な英雄サムソンを演じたヴィクター・マチュアのなんとそれらしいこと。[投票(1)]
★2毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト(2006/米)階段は映画において強烈にフォトジェニックな力を持ちうる。この映画などその最高の見本といえる。ニコール・キッドマンが階段を上るときの、見上げる目線のエロティックさに陶然となる。一方、この掘り下げ不足の中途半端なストーリーはどうしようもない。[投票(1)]
★3善き人のためのソナタ(2006/独)煙草の煙の滞り具合や終始示される曇天。体制の象徴化としてはなんという凡庸さか。この映画を会話劇として観ることをやめると、予想外の貧相さに気が萎える。万巻の書物の寄せ集めで一編書きあがった秀才の論文という印象がぬぐえない。[投票(1)]
★2血と砂(1941/米)絶頂に立つ者の栄光とその転落をこれ以上想像できないくらいの紋切り型で描く。ラスト10分の手抜も糾弾されるべきだろう。しかしながら、この映画は見上げる者と見下ろす者の視線の交錯に特徴があり、その瞬間に底知れぬ深みを湛えることもまた事実。[投票(1)]
★4地獄への道(1939/米)驀進する列車の上を駆ける強盗のシルエットのこの上ない緊張感。天井を一つ隔てたその下の車室の心地よい平和な明るさ。これが一つのショットに収まっていることのすごさ! モニュメント・バレー西部劇とは対極的な森と湖の西部劇。時代を超えて今なお美しく、メッセージ性も今に通用する新鮮さに満ちる。[投票(1)]
★3インファナル・アフェア(2002/香港)まるで日本のテレビドラマから絵の撮り方を学んでしまった感のあるいびつさ。絵柄に奥行きがなく実に珍奇かつちんけだ。ハリウッドの一級ノワールにもおさおさ劣らぬこの暴力的なまでに知的な脚本が要求するのは、夜を基調としたコクと照りのある画面だったはずだ。[投票(1)]
★3陸軍中野学校(1966/日)愚かしいばかりの忠臣達を戯画として描きたいのか、悲哀と共感を持って描きたいのか知る手がかりすらなく、我々見る者はどこを切っても掘っても湿りを帯びた画面の表層を滑走するだけ。この映画に人間は登場していない。だからと言ってつまらないわけではないのだ。[投票(1)]
★2つぐない(2007/英)起こったことに涙するのが劇映画鑑賞の基本であるのに、起こらなかったことに涙することを強いられて不快だった。時間の入り組ませ方にねらいや意味を見出せない。ロビー視点の部分とブライオニー視点の部分が混じるだけに時間順序の転倒は事実と架空の境界を濁してしまい逆効果。[投票(1)]
★2ボーン・アルティメイタム(2007/米)三作まとめての謎解きをしなければいけない分、解説臭くなったのは我慢する。しかし、クライマックスのニューヨーク・ロケが中盤のモロッコ・ロケより劣るという工夫不足は許されない。悪役がドジ過ぎるのもいただけない。[投票(1)]
★4ボーン・スプレマシー(2004/米=独)リアリティの含有度とアクションの質の高さでは当代最高のスパイ映画。近年の007はこのボーン・シリーズのエピゴーネンと化したと独断する。手ブレを多用したドキュメンタリー風の硬質なロケ撮影がよく、ドイツやロシアを素のままに美しく画面に定着させている。[投票(1)]
★5我等の生涯の最良の年(1946/米)諦念と落胆の紙一重のところで途方もない楽天性が貫徹していく素晴らしい映画。グレッグ・トーランドの深い被写界深度の清澄なキャメラが、1日24時間の時刻を正確に描き分ける。それは、冒頭延々50分にわたり克明に3人の復員者の1日を描くという斬新なプロットの成立に必須の技術なのだ。[投票(1)]
★3ピクニック(1936/仏)感動はないが驚愕があった。退屈な行楽と薄汚い欲望の一刻が、どうしてこうも高貴な蜂蜜色の時間にかわりうるのか!? 天才ルノワールの秘密は奥深くてとても言及はできないが、映画の詐術性がむき出しになった傑作であることは間違いない。[投票(1)]
★3クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米)色情映画に過剰なストーリーが要らないように、怪獣映画に過剰なストーリーは要らない。なのにそれをやってしまったのが本作品で、この制作姿勢と叙述のスタイルが不釣合いな出来損ない。もっとジャンルにこだわってほしかった。女神の大首が吹っ飛んでくるところなど超ド級の迫力があるし、実に残念。[投票(1)]
★5愛する時と死する時(1958/米)世界は信じられないような偶然にあふれていると同時に、誰一人逃れられない宿命の罠もまたあまた仕掛けられているという苦い諦念が、フィルムから濃く滲み出す。米国民に戦争映画の作り物でないリアルなドイツ人を描いて見せた心意気に、私の心臓も鳴動しっぱなし。[投票(1)]
★3居酒屋(1956/仏=伊)狭い屋内を多様なアングルから撮る手練は並々ならぬものがあるのだが、女同士の喧嘩シーンや誕生会の晩餐シーンで特に際立つくどい演出やリアルな美術のもたらしたものは結局かび臭さ。粘りつく目線と過剰な思い入れが全演者に共通しており、窒息しそうになる。[投票(1)]
★3007 慰めの報酬(2008/英)スピード感の演出は、シリーズの中でも屈指のレベル。ダニエル・クレイグのナイフのような容貌や肉体にふさわしい演出となっている。本作は伊達男ボンドの路線を完全に転換しきったことをあらためて裏付けた。当分この路線で突進するのだろう。一抹の寂しさも感じる。[投票(1)]
★4永遠のマリア・カラス(2002/伊=仏=スペイン=英=ルーマニア)人生の白秋期の映画化として上質の出来栄え。ファニー・アルダンが20世紀最大のディーヴァに正攻法で取り組んで圧倒的な女ぶりを見せつける。ハバネラを歌うときのクローズアップの顔の素晴らしさ! この映画では男に女のような華があり、女に男のような強さがある。[投票(1)]
★3地球の静止する日(1951/米)この映画は冒頭部とエンディング部以外大半の部分はサスペンス映画である。物静かな得体の知れぬ隣人、逆光で見えない顔、尾行と追跡、女性に迫る怪しい物影。きびきびしたカット割と、光と影の強いコントラスト感が作り出すソリッドな映像は、今なお魅力的だ。[投票(1)]
★2魔法にかけられて(2007/米)もう自家中毒としか思えない出来栄えなのだが、それでも、あのリスの造形には頭が下がる。妙に実写とアニメーションを混在させなかったことも出来栄えにとってプラスであった。[投票(1)]