コメンテータ
ランキング
HELP

disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★5街のあかり(2006/フィンランド=独=仏)光彩の優しい重さに付託された選択と行動の淘汰圧から、意図と計画の整合性がひょっこりと浮上したとき、自嘲の諧謔は北国のド演歌に乗って昇華する。 [review][投票]
★3アバウト・シュミット(2002/米)成長と退潮を器用に繰り返す行き場のない活力が妙に若い。ウォーターベッドに抗い悶えるあの迅速な所作の愛らしさを見よ。[投票]
★3トランスフォーマー(2007/米)地上を這う個別的なショットと遠景の物語視点をつなぐフレームの目まぐるしい円環軌道。輪舞のような景色の渦動感に形を与えるのは、中産階級の生態観察へ注がれる好意に満ちた眼差しである。[投票]
★3アンダルシアの犬(1928/仏)構造化できない時間と妥協し共生を決意した、哀しいまでに明朗な生活感。[投票]
★4情婦(1957/米)コロコロとフレームに近寄るロートンのゴムまりのような肉厚と昇降装置への異常な執着。流体のように運ばれる証拠調べと証人の足取り。老人たちの陶酔と戯れは法廷の厳密な幾何学に従って光学的な配列に介入しその遠近感を担う。 [review][投票]
★4西瓜(2005/仏=台湾)「私の愛しい人は 孤独で寂しい ひとひらの雲のよう」 (つД`)[投票]
★4楽日(2003/台湾)固定したフレームが塗り重ねる光学の水紋と波。仮象のような情報の滞水層が被膜するのは汎性愛的な神経戦の傷ましいアクアリウム。[投票]
★3北京の55日(1963/米)ロバート・ヘルプマンの高慢な悪人面が素敵すぎるのに、NPO女の恋バナが見事に妨害工作。整序なきマルチタスクが祝祭のような喧噪で奏でるのは滅び行く中世の憂鬱な挽歌。[投票]
★4バブルへGO!! タイムマシンはドラム式(2007/日)われわれとGDP10兆ドルを架橋するは成長の停止した広末の外貌的失われた十年である。[投票]
★3わが町(1956/日)円滑な世代交代に欠けるため、娘は擬似的にいつまでも娘のままで、人が時の指標になり難く、時間の樹形図は空間に代替されて語られる。回想の紙芝居は街路という形を得て定着し、迷路のような路地を駆け抜ける徒競走はプラネタリウムの弧球に至り全うされる。[投票]
★3夫婦善哉(1955/日)空間を寸断するガジェットの密度と閉塞感に順応し流動性を獲得した森繁の身体と音節は軟体動物のように街路を放縦するのであるが、広がり求め上昇した視界の向こうには地獄のような書き割りの遠近感が立ちふさがるのである。 [review][投票]
★3ゾディアック(2007/米)時間のゆるやかな流体を前にして動物クッキーもシリアルキラーも区別を失い、希薄な環境光は情報の輪郭を故障した自販機や食いかけのハンバーガーへ拡散させる。消費された時代はやがて愛すべき体積の広がりとして現れ、男を抱擁する。[投票]
★3社長千一夜(1967/日)夫婦愛を高らかに謳いながら、発情した久慈には冷淡な森繁。フランキーの暴走に憤りながら、いきなり湖畔で爆唱する森繁。心理的な信憑性の土台を縦横無尽に透過するその身体の周りには、メタボリック妖精・加東大介&小林桂樹が守護天使さながらに浮遊する。 [review][投票]
★3霧の旗(1965/日)情報の空所を利用した流動性によって小市民の定義をひっくり返す方向性は理解できるものの、山田洋次の倍賞萌えがこじれすぎたのか、弁別の不能となった心理の扱いにブレがあって常人には少し荷が重い。 [review][投票]
★3幸せのちから(2006/米)人材市場のミスマッチでプラグマティックな地頭の良さが空転するありさまを殊更に政治化して嘆じることなく、むしろそこで語られる残酷な間抜け感を利用して貧乏サバイバル劇に愉しげな色合いを良くも悪くも与えてしまう見上げた西海岸根性。[投票]
★4ロッキー・ザ・ファイナル(2006/米)世代論に思い出と後悔、それに試合のルックの下世話な亀裂。ベタベタな人生の動機が 大根演技の自虐的な利用に濾過されてたどり着くのは、それらを統合して凝固する強烈な確信、つまり物語への素朴で古典的な信頼である。[投票]
★3俺は、君のためにこそ死ににいく(2007/日)基本的に陰気な感傷でしか物語を編成できないのに、ミディアムよりサイズを踏み込まない場違いな慎みもあれば、機能性とメカに執着するリアリズムもある。語りの空間を寸断するイデオロギーの錯綜に混乱するほかないが、現代邦画の垢抜けないキモさが段々癖になってくるのも否めない。[投票]
★3喜びも悲しみも幾歳月(1957/日)お話は良くも悪くも堅実なのに、観音崎灯台なんかが妙にモダニズムしていて邦画黄金期の余裕が感ぜられる。時代といえばそれまでなのだろうが。[投票]
★4ワールド・トレード・センター(2006/米)威力偵察が瓦解する喜劇のような速度からしても、回想をめぐる統辞法の混乱からしても、イベントの継起に人の思考が追いつけない。情報の洪水を物語の布置に整形する作業は廃墟の下に残された負け組おやぢの仕事だ。 [review][投票]
★3桜の森の満開の下(1975/日)俺様の西村晃があんなに凛々しいのに、あっさりやられてしまうなんて...悔しい、もとい力関係の整合性がなっとらん。俺様の加藤嘉がなかなかシブイのが救い。一瞬しか出てこないが。[投票]