[コメント] Mr.インクレディブル(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
最後にダッシュが競争において意図的に2番を取ったシーンで、あぁ、これがこの映画の隠されたテーマなんだなと理解しました。
何でも1番じゃないと気がすまない・・・という性格の人がいる。それはそれで努力もいるだろうし、別にそういう考えを批判しているわけではない。それを常に実践させている人は尊敬さえ出来る。
何でも1番じゃないと気がすまない・・・と言うと語弊があるかも知れないけれど、思想・経済・豊かさ・軍事力等々で世界をリードする存在でないと気がすまない・・・という国もある。
世の中の事象は須らく1番が居れば2番も居る。そしてビリだっている。ちょいと古い言葉ですが「ゼロサム社会」であり「ゼロサム世の中」なんです。勝者がいれば、敗者もいる。何でも1番に立つもしくはイニシアチブをとりたいと言う事は、結果的に妬みや恨みを買う事にもなります。これは今の世界情勢を見れば一目瞭然です。
スーパーヒーロー達も世の中の平和をしょって立っているという自負もあるだろうけど、それには驕りも含まれている事でしょう。古今東西のスーパーヒーローはどいつもこいつもナルシストなのは確かですね。自分が絶対的な存在と勘違いして、善悪の基準も自分にあると思い込んでいる。確かにインクレディブル・ボーイのしつこさには辟易とさせられますが、Mr.インクレディブルの彼に対する扱いは同情こそ出来ないものの、警察にまでつきだすというのは、Mr.インクレディブル自身の目にはボーイの存在がうざいというより、非行少年と映ったからではないでしょうか? これでは、彼から反感を買う事は容易に想像出来ます。
こう言ったスーパーヒーローが実在したら、有り難さがある反面、善悪ハードルが高いヒーローの場合、我々一般ピープルは枕を高くして眠ることが出来ない事でしょう。スーパーヒーローは真の意味で聖人君主でなければばらないのです。
軍事力を傘に着たアメリカという国は、正義という名の下にやりたい放題、野放し状態のスーパーヒーローと同じです。せめてヘレンの様に抑えの効く恋女房役の存在が今の世界には足りないのですね。
人間、時には低く屈む事も大事です。「安値世界一」よりも「日本で二番目に安い」方が、親近感が沸くと思いませんか?
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さてさて、ちょいと深読みしすぎでしたがテーマ抜きにしても上出来です。ディズニー&ピクサーのコラボによる映画にしては、擬人化したキャラにしか魅力作りが出来ず、いつだってロボットみたいな人間キャラしか作れなかったのが、今回は生の人間に魅力を持たせることが出来ていますね。
また、マントの件等、伏線が散りばめられており、理屈抜きでサイコ―に楽しめる映画であることは間違いないです。残るコラボ最終作は、続編の制作でぜひお願いします。
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