舞台は観たこと無いけれど、何度も名前を聞いたことのある、あの有名（らしい）な『オペラ座の怪人』の映画化。現代の最先端の映画技術を駆使して、舞台では表現できない事を映画版でやってくれるはずだ。

冒頭、予告編やＣＭで何度も見た、あの壮大なテーマソングと共にシャンデリアが持ち上がり、黄金色に輝く劇場が甦るシーン。フルオーケストラに乗って、何十人、もしくは何百人の舞台出演者が踊り出す。それぞれ豪華な衣装を着けて。

ワーオ、ゴージャス！ブラボォー！！この映画観に来て良かったよ！

これなんだ、きっと舞台で表現することに限界があったであろうこの豪華さ、ド迫力。鳥肌が立つような、素晴らしいシーンだった。

・・・しかしそれ以降・・・。

何と言うか、アレを越えるシーンが無いのだ。冒頭であれだけぶったまげることをやってくれたのなら、きっと中盤でどっかーん、ラスト付近でどかどかどかーんと目を見張るような見せ場を期待してしまったのだが、どうもそれらしきシーンが出て来ない。物足りない。冒頭のアレを観てしまった後だけに、心なしか劇場や舞台裏以外のセットが安っぽく感じる。中盤のマスカレードも迫力があって非常に良かったが、冒頭ほどの衝撃は無い。

恐らく大金が掛かっているであろうシャンデリア、持ち上がるところはゾクゾクするほど良かったけれど、落ちるところはいまひとつ・・・。

物凄い衝撃を与えてくれた、シャンデリア持ち上がり劇場甦りシーン。が、あのシーンを越えてくれ、もっと見せて、魅せてくれ！という願いも空しく、それを超えることは出来なかったように感じた。