[コメント] スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)
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もともと、ダースベイダーを主人公に据え、彼を激しやすいが才覚ある少年として描き、彼が悪党になる過程を二作目までほとんど描いてこなかった時点で、無理は見えていたのだ。彼が心酔するパルパティーン議長は見ている限りカリスマ的側面は絶無であり、彼の口車に乗ったアナキンがその命令に従ってジェダイを子供に到るまで惨殺するあたりを見ると、ルーカスはやっぱり「悪の深み」の判らない甘ちゃんだと思わず肩を落としてしまう。
しかし、無理を言っても詮無いことだ。ルーカスにはそんな自分の甘さがおそらく見えているに違いない。だからそんな彼を優しく見守る、今までスターウォーズ・シリーズを眺めてきた観客へのせめてものお礼として、ルーカスは今までに例のない、見せ場だらけの大スペクタクル大会を繰り広げ、またファンの不満を解消するシーンで声援に応えてくれた。以下はそんなサービスの数々。
●まずはファーストシーンからの艦隊戦。その迫力はこのシリーズ随一と言っていいだろう。そして、不評だった新シリーズのメカニック事情から脱却し、旧シリーズのそれへの回帰が行なわれているのが容易に見てとれる。
●クローン=ストーム・トルーパーへの工夫。もはや初期のつるつるプラスチックのアーマーが受けないのは判りきっている。そこで、つや消し白のボディに赤や黄のラインを入れ、さらにウェザリングを施すお馴染みの手法で難なくクリア。
●これは前回もだが、パドメの普通の女性としての魅力。あの珍妙な花魁ファッションは影をひそめ、レイア姫に準じたあの世界観らしいヘアスタイル、コスチュームが披露される。(もっとも、ケイシャ・キャッスル・ヒューズがこのとばっちりを食うのだが)
●パルパティーン対ヨーダ。パルパティーンがダース・シディアスだったことを含めて。この取り組みは旧シリーズで、いとも簡単に倒されてしまった皇帝を見ていたファンには期待されるものだったろう。
●ドロイドのヴァリエーション。やはり主力の「鉛の兵隊」めいた弱い人間型だけではお粗末過ぎる。グリーヴァスのように複数の腕を駆使してライトセイバーをふるう上級タイプから、昆虫型などの非人間的なものまでいろいろ。
●その他、チューバッカの過去などに懐かしさを覚える方もいるだろう。
とまあ、これだけサービスしてくれれば話は判りきっていても、プラス1点くらいする気になってくる。画面で陶酔させるのは黎明期以来の立派な映画のありようだものね(もっとも、そういう誉め方はこの映画ならでは、なのだが)。
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