[コメント] いつか読書する日(2004/日)
淡々とやさしく過ぎていく時間のなかに、深淵が口をあけている。あまりにも必然のラスト。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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凛と生きていく女主人公のすがすがしさ・・・みたいに宣伝されているけれど、この映画はそんな映画ではないと思う(だって『独立少年合唱団』の監督だよ?)。だいたいあんな50代を本気で送りたい女性がいるだろうか?
主人公ととうとう一夜を供にし、彼女の部屋でひとり目覚める男。その視界に入ってきたものは、おびただしい本の群れ。主人公にとって、男との秘めたる恋も、彼女が永年なぞってきた「物語」の一部に過ぎないのではないか?一徳のあの表情はそれに気づき、愕然とした表情だと思う。
そして現実との一線を越えて彼女を抱いてしまった男に残されたのは「死」だけだった。
「死んだように生きてきた男」は今度こそ完全に死んだ。死んで彼女の世界の一部になった。だから彼の死に顔は幸福なのだ。 だが、あんな気味の悪い死に顔は、映画史上最高かもしれない。夢にみそうだ。 あの顔がこの映画のポイントのように思う。
そして、男の死を飲み込んで、またひとり生きていく主人公。すがすがしいというより観終わったあとじわじわと恐ろしかった。
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