[コメント] マリー・アントワネット(2006/米)
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ソフィア・コッポラ。処女作の『ヴァージン・スーサイズ』は、良くも悪くも中身の無いただ雰囲気だけの映画だった。ただその雰囲気がこの監督にしか出せない個性であり、女子ならたまには浸ってみたい甘いメランコリーだ。薄く伸ばした壊れやすい飴細工のような映画。この監督はきっと何を撮ってもこういう風になるんだろう。この映画を観てそう思うほかなかった。
普通ならこんな歴史大河、コッテリドッシリ悲劇喜劇のオンパレードで重厚に描きたくなるところだろう。首飾り事件や断頭台まで、史実もたっぷりもりこんで「いよ!待ってました!」と思わず言いたくなる予定調和な『水戸黄門』のように。だってそれだけの時間と予算がかかってんだから。 でもそれをしない。本物のヴェルサイユ使わせてもらってるくせに、それを「さあ見ろ!!これが鏡の間だ!!」なんて見せ付けるシーンは一切ない。フランスの老舗菓子店に特注したお菓子や、高級ブランドのマノロブラニクの靴も、まるでサブミナル効果のように出ては消え、出ては消え・・そこCMでもプッシュしてたとこじゃんか!もっとよく見せてよ!!なんて叫びはおかまいなし。結局何が一番贅沢ってこの見せ方。一番手間とお金をかけたであろうところをケチケチ見せず、ささーっと雰囲気作りのみに使用。目の飛び出るくらい綺麗で贅沢な衣装も次から次に変わって、あげくのはてに「朝日を見に行きましょう(ワ〜)!」って芝生にゴローン!だもん。中世の装束なのに、この辺のノリ、一作目とまったく変わらず。やっぱりこの女、筋金入りのお嬢だ。そこらの一般人とは訳が違う。
ただそんなセレブ造りができるのも、この監督の他にいない。パパのコネだろうがお嬢育ちだろうが、この監督が撮ればどんな歴史上の人物も「ある女の子の過ごした日々」の目線で描けるのだ。それは間違いなくすごい才能だと思う。
ところでアントワネット役のキルスティン・ダンスト。 長年彼女のファンをやってきました。しかし別段感動はございません。何故かって。「可愛かった」「魅力的だった」「台詞少ないのに感情を上手く表現していた」。・・・この程度、彼女の才能を持ってすれば当然のこと!!『スパイダーマン』で彼女のことブサイクってゆったヤツ!!!あやまれい!!!!
それだけに、せめて牢で幽閉生活を送る場面はみたかった。そこで初めて自分を知る、自我に目覚める女王の姿を描いて欲しかった。(キルスティンならそのへん演るのもヨユーだしぃー) 旦那さんのジェイソン・シュワルツマンもすごい上手でよかったなー。馬鹿にされるか嫌われるかどっちかだろうに、ちゃんと夫婦愛があったことも伝わった。ソフィアの従兄弟でこれもコネなんだけど。でも上手いからなんだっていい。あと子役・・アントワネットの娘・・・・フランス語で「ハチしゃん、ハチしゃん(蜂さん、蜂さん)」とか言ってんの・・・・・ナンジャってくらいカワイカッタ・・・・(07/2/4 劇場)
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