[コメント] 天然コケッコー(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画は田舎の暗部をわざと隠す。 監督も、田舎がこんなユートピアでないことは重々承知だろう。 閉じられたコミュニティで煮詰まる人間関係、年代ものの軽トラが走るヒビだらけの道路、そして都市部と比べたときのどうしようもない貧しさ… 「田舎」と言えばほのぼのしてるが、言い換えれば「僻地」なのである。「人の住みにくい辺境の土地」なのである。
それでは、作品中に描かれる明るい田舎は何なのだろう? あれは、子どもの目から見た田舎の姿だ。 おじさんおばさんはみんな優しくて、スイカは美味しくて、お祭りはひたすら楽しい。 僕が小さい頃、親戚の家にしばらくお泊りして感じた田舎は、まさにこれだった。 まさに、『となりのトトロ』の世界。
監督は観客を主人公に感情移入させるため、現実の田舎を分解し、キレイなパーツだけを寄せ集めて「主人公の目を通して眺めた美しい田舎」を再構築した。 リアルな田舎を隠すのは悪いことではない。 主人公の目にはこう見えている、という演出なのだから。 そして親父と女の密会を目にしたあのシーンは、主人公の目に映る「田舎」が成長と共に変化していく基点となるのだろう。 あのシーンの存在は、主人公の成長を意味するのと同時に、「楽しく美しい田舎はあくまでフィクションだ」という監督から観客に向けた示唆となっている。 上手い、上手すぎる。
星5つをつけても良い出来栄えだが、あの転校生がイケメンというだけでチヤホヤされてる感じがしてなんとなくムカつくから星4つ。 なんですか、東京出身のイケメンさんなら田舎娘にいきなりチューしてもいいんですか、そうですか。
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