[コメント] インビクタス 負けざる者たち(2009/米)
優れて計算高い男マンデラが、ラグビーW杯と自国チームを政治的に利用して、白黒一触即発の国民を一方向(対外敵)へと洗脳していくさまが、硬軟とり混ぜ巧みに描かれているわけだが、その権謀術数ぶりをセーフにしてしまうイーストウッドのバランス感覚のよさ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あらゆる民を赦し、すべての国民に笑顔をふりまき、側近たちを気づかい、まわりの女たちへの誉め言葉を絶やさない。そして、主張すべきことはさりげなく周りの反応をうかがいながら、しかし強く主張し、いつの間にか自らの意志を通してしまう。ネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)の、何とも強烈な人ったらしぶり。脳みそ筋肉男ピナール(マット・デイモン)など、そのオーラにいちころで、あっというまに国民洗脳作戦の尖兵となるわけである。
そんなマンデラの冷徹さや計算高さを、この駄目チーム再生物語という典型的スポーツものの殻をかぶった政治映画のなかに、イーストウッドは嫌味なく、ぎりぎりの美談めかして巧みに散りばめていく。劇的であればあるほど感動を生むのがスポーツ映画なら、美談であればあるほど胡散臭さを放つのが政治映画である。その劇的さと美談のおりまぜ方の絶妙なこと。観客の目をくらましながら、映画的快感と感動へと観る者を導くイーストウッドもまた、権謀術数の演出家であり稀代の観客ったらしなのである。
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