[コメント] ラ・ラ・ランド(2016/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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これらを全くカットを割らずにシーケンスショットとして見せ切るのだ。何という見る快感。あとは「City of Stars」という楽曲が2回(エンドクレジットのハミングを加えると3回)使われるが、桟橋のライアン・ゴスリングと黒人の老夫婦のシーンもいいし、ゴズリングとエマ・ストーンが部屋でデュエットする場面の幸福感が素晴らしい。「A Lovely Night」といい、これといい、ツーショットの演出が秀逸だ。それに比べてツアーからサプライズで帰ってきたゴズリングとストーンが口喧嘩になるシーンでアップカットのリバースショット(切り返し)を延々と見せられるのはちょっとシンドイ演出だ。
あと、映画館で『理由なき反抗』を見るシーンがあり、『エデンの東』等でない、ということで、おゝ分かってるやん、と思う。クレジットタイトルのジェームズ・ディーンのカットをバックにストーンがスクリーンの前に立つ。少々奇異な演出なのだが、これも現実離れしたとても映画らしい演出、と思っていると、グリフィス天文台のシーンでフィルムが焼けて上映中止になってしまう。この扱いには少し腹が立つが、この後、二人はグリフィス天文台へ行き、何ともファンタジックで美しいミュージカルシーンとなり、こゝも大いに感激する。
実は、冒頭のハイウェイでの「Another Day of Sun」のシーンは逆光が多く、人物の顔がアンダーで見づらいと思っていると、さらにルームメイト(ソノヤ・ミズノが出ている!)との「Someone in the Crowd」もローキーぎみだ。こゝで既に、私は本作が「影」のあるミュージカルなのだという予感がした。エピローグは、矢張りともて切ない演出で、21世紀のミュージカルらしい帰結と云えるだろう。上で、中盤のリバースショットが難点であるかのように書いたが、ラストの二人の視線の交錯は、切なさが倍増しされる、たまらない切り返しだ。
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