コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 太陽を盗んだ男(1979/日)

邦画洋画問わずこれと同類にカテゴライズできそうな映画って、まず思いつかない。だからこそ伝説たり得たんだろう。ストーリーテリングの放棄ともとれる終盤の暴走も断然擁護。だって面白いから。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ターザン・ジャンプによる原爆再強奪を境に、暴走していく展開。主人公が最狂の愉快犯に育っていく過程を丹念に描写した、ぞくぞくするようなそれまでのサスペンスフルな雰囲気が台無しじゃねーかとも思ったが、やっぱり面白いから許せてしまう。

ターザン以前の原爆製造から五億円脅迫に至る展開には、「こんなことあり得ない…だけどひょっとしたらありそうで恐いな」的無気味さを与えられる。そして、ターザン以降は本当なら「アホか!」と怒りだしてもよさそうな「あり得ない」展開なのだが、それ以前の「…だけどひょっとしたらありそうで恐いな」という部分の印象を引きずっているからか、どこか無気味さを感じてしまう。ターザン以前と以降は、分断されているようで実はやはり一体のものなんだと思う。

ここに描かれている話の舞台になっているのは、紛れも無く我々の知っている新宿や渋谷。が、二十数年前であるためどこかが違っている。それは、人々の髪型や服装であり、自動車の形態であり、ピンクの公衆電話であったりするんだけど、その辺の「違い」が、非現実的なストーリーとも相俟ってパラレルワールド的な別世界での物語のように感じられ、また独特の趣きを呈している。もちろんこれは今になって観たからこその感想なんだけど。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (12 人)Myrath DSCH[*] ジェリー[*] モノリス砥石[*] 鎌倉ルパン[*] 甘崎庵[*] 山本美容室[*] いくけん ジョー・チップ[*] おーい粗茶[*] はしぼそがらす[*] ゑぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。