[コメント] グッドフェローズ(1990/米)
一瞬の輝き
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ある人間が「成功」を手にしたその瞬間から、転がり落ちるように輝きを失っていく悲しさを描かせたら、この監督の右に出る者はいないのではないだろうか。『レイジング・ブル』から10年、マーティン・スコセッシは、またもやってくれた。
この監督がある人物を題材として選ぶときに唸らされるのは、この人は、今でも誰もが知っているような、ある意味で人々の記憶のなかで「輝き」を失っていない英雄的人物を撮ろうとはしないことだ。だから、この監督は、シュガー・レイ・レナードやモハメッド・アリじゃなくジェイク・ラモッタを、そして、ジミー・コンウェイやアル・カポーネじゃなくヘンリー・ヒルをあえて物語の中心に置き、その人生の興亡を描く。
映画の最後に、ヘンリーは言う。 Now I'm an average nobody...I get to live the rest of my life like a schnook.
ほんのわずかの間、一瞬の間だけ輝いていた人物が、平凡でつまらない人生を歩むようになってしまう様。だが、ほんの一瞬のわずかな間でも、確実に輝いていた人物。スコセッシが選ぶのはそういう人物。その一瞬の輝きに美しささえ感じるがために、輝いたまま人生の幕を閉じることができない悲哀がよりいっそう強くなる。
『グッドフェローズ』から12年。そろそろまたやってくれるはずだ。
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