[コメント] 八月のクリスマス(1998/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
8年ほど前、先輩の営業マンが亡くなる事件があった。享年28歳、肺ガンであった。確か初めは、25ぐらいの時にカゼをこじらせて入院したあたりからだったと思う。彼はいったん退院したのに「すぐ再入院。しかもガンセンター」と高らかに笑いながら同僚たちに笑いを求めていた。明らかに無理をしていた。この後、彼は入退院を繰り返しつつも、会社にはとりあえず出社し、好きだったタバコもやめていたが、ある時、急にタバコを吸い始めた。「Tさん、タバコだめなんだろう?」と皆が言うと、「いいじゃん、もう先が短い身なんだから、好きにさせてよぉ(邪笑)!」……シーンとしてしまったのに彼が逆に気を使ってか「でも、吸うと苦しいっつか、痛いんだよ、馬鹿だよな、オレ」と一人高らかに笑った←(今思い出しても、ドつぼにはまってたよな。オレは無言になった)。
そんな彼の営業所に晩年一人の若い(当時)事務員さんが入社してきた。もちろん、彼が本気かどうか判らなかったが「彼女、かわいいよな。いいよなぁ。」と随分ノリノリだった。なのに全然、声も掛けない。僕と同期のスチャラカ社員だったTくんが「Tさん、言っちゃえよ」と、けしかけても「オレはどっちみち一生独り者」と受け付けなかった。そして、その10ヶ月後に、彼は戻らぬ人となった。
葬儀の際にうちの社長が「彼は自分の病状を肌で感じ取ったのか、好きな娘がいても、何にも言わないで、彼女も作らず、友達にも言わず、それでも会社にだけは「苦しい、苦しい」と言いながらも毎日、出社してくれた。」と別れの言葉にした。ばあちゃんの葬儀で泣きもしなかった、この自分が初めて葬儀で泣きまくった。社員全員がそんな感じだった。事務員さんも彼の気持ちを知ってか知らずか、泣きまくっていた。
実際の彼の本心は正直いって判らないが、妙にこの映画を見て、彼の事を思い出した。スプリングスティーンとストーンズを愛する大柄で宴会好きな人だった。
これぞホンモノの蛇足 : 実際、先輩がこの映画みたいな考えで行動していたかは非常に微妙な所だった思い出→けっこうマジな目で「どうせ死ぬんだから、一回だけ!」とかうちらには言ってたが…。
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