[コメント] バッファロー’66(1998/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
冒頭の刑務所から釈放されるシーン。受刑者という肩書きを失ってしまうと刑務所に戻る事すら出来ない「何にも」ない奴。立ちションすら出来ずに便所を探しまわる運の欠片もない人生。シナトラに成れるはずもなかった父親にアメフト狂いの母親。キンクリのムーンチャイルドで踊るクリスティーナ・リッチのスタイルの悪いこと。(←ここ大爆笑するシーンです)
この映画を観ながらアメリカ全土の田舎町に生息する数知れない駄目人間たちは、ペプシコーラ(L)片手にポップコーンやスナック菓子をムシャムシャとやりながら「馬鹿な奴」、「アハハ、マジかよコイツ」、「俺の方がまだマシだな」とニタニタしながら特大のゲップをするのである。
さてクライマックス。主人公がストリップ劇場に殴り込み、仇の頭を撃ち抜き自分の頭を撃ち抜いた時、そのあまりにもの滑稽な顔に駄目人間たちは、「よくやった兄弟」、「おまえは綺麗なまま(童貞のまま)男になったぜ」、「次は俺の番だ」などと無責任な言葉で彼を褒め称え、ねじれない腹を波打たせながら呼吸困難に陥らんばかりに大笑いするのであった。
数分後、婚約者と「面白かったわね」などと言葉を交わしながら映画館をあとにする高校時代のマドンナを横目に、ペプシコーラの紙コップをスクリーンに投げつけながら無言で帰宅のとにつこうとする、寂しそうな駄目人間たちの姿がそこにはあった。
この映画を「さわやか」に観終ってしまった貴方は駄目人間失格です。おめでとう!
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