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[コメント] ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998/英)

スリーカード・ポーカーで言うと3の3並び
ろびんますく

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







は言いすぎだが素晴らしい。

ポスト・サッチャー時代を舞台にイギリス人監督が自国流に自国を撮った映画。

●小粒な国イギリスにぴったりの小粒キャラたち。

それぞれのキャラの個性が前面に押し出されている『パルプ・フィクション』がまさに「個」のアメリカだとすれば、何から何まで徹底した小粒感覚で誰もが常に誰かとつるんでいるこの映画は見事にイギリス。実は(日本人同様)群れるのが大好きで自虐ネタ大好きなひねくれイギリス人なら笑わずにはいられないだろう。

●自国をバカにした自虐的なイギリス流の笑い。

--「Fucking northern monkies(北のサル).」「I hate these fucking southern fairies(南のホモ).」は笑った。南部(特にロンドン)人は北部人を野蛮人とバカにし優越感を感じ、北部人は劣等感を感じると同時にロンドン人を軟弱野郎とバカにしている(さらにゲイの人に会ったこともないくせにホモフォビアな人が多い)というステレオティピカルな構図を3秒で見事に表すやり取り。相互理解に至ることは永遠になく平行線を辿り続ける。(その無理解が最後まで続き最終的にお互いの破滅をもたらす点がまた何とも皮肉がきいていて面白い。最後のお互いのセリフまで無理解を象徴:What the fuck are you doing here?)日本で言えば『EUREKA』での「東京vs地方」の確執といったところ。

--ギャングや主人公の仲間だけがバカなのかと思いきや本来イギリスを背負ってたつと思われるようなパブリック・スクール(進学校)を出たエリート君もラリってるだけのさらなる間抜けで、しかも伝統的な「階級」からすればthe lowest of the lowの黒人マフィアにいいように使われて、白人バカギャングにボコボコにされるという設定もまたまたイギリス的皮肉が効いていて面白い。

--隣人の帰りを待ち受ける場面で「The entire British Empire was built on cups of tea.」「Yeah, and look what happened to that.」これはもう最高。そして、その大英帝国があれだけ全世界から搾取をしたのは実は島国たるイギリス自らの文化といえばパブくらいしかなかったからであり、それは今でも大して変わっていないということを事あるごとにパブに入り浸る主人公4人組の行動によりまたもや自虐的に皮肉る。うますぎる。

イギリス人なりの自国への愛を感じる強烈なイギリス流イギリス人実は馬鹿なんですカミングアウト宣言。

炭鉱ものだけじゃない。イギリス人はずっとこういう映画を待っていたに違いない。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (17 人)うちわ おーい粗茶[*] 浅草12階の幽霊 まりな[*] スパルタのキツネ[*] G31[*] くたー[*] Myurakz[*] みくり[*] ゆ〜ゆ〜[*] SUM[*] OK[*] mal ニュー人生ゲーム ジャイアント白田[*] かっきー[*] KADAGIO[*]

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